[I-YB01-05] OD・OI外来を始めよう。兵庫県立こども病院循環器科での実践。
Keywords:体位性頻脈症候群, 起立性調節障害, 起立不耐症
当院では主に小児循環器科医が起立性調節障害(OD)・起立不耐症(OI)の診療を行なっている。その実例を体位性頻脈症候群(POTS)を中心に述べる。POTSは国際的には主に(1)末梢の自律神経障害(neuropathic POTS)、(2)血液量不足(hypovolemic POTS)、(3)原発性の交感神経活性の過亢進(primary hyperadrenergic POTS)という3つのmechanism・subtypeに分類される(重複することも多い)。日本国内ではこの分類は普及していないが(日本小児心身医学会ガイドライン参照)、当院ではこの分類に則っての病態に沿った治療を目指してきた。subtypeの推定は、問診(症状、飲水量、運動量など)、体格の計測、胸部レントゲン検査、血液検査(ノルエピネフリンなど)、起立試験・ヘッドアップチルト検査の所見などをもとに行う。治療(非薬物療法・薬物療法)はsubtype別に考える。すなわち、(1)neuropathic POTSには下肢や腹部の圧迫、下肢の筋力強化、ミドドリン内服、(2)hypovolemic POTSには水分・塩分摂取量増量、運動励行、生理食塩水の静注、フルドロコルチゾン内服、(3)primary hyperadrenergic POTSにはβブロッカーやイバブラジン内服を主に検討する。各治療のブレンド具合の調整も重要である。治療開始後、諸検査の再施行のみならず、自宅での起立試験結果や電話診察制度などを用いて患児の状態をフォローし、病勢の変化やsubtype判定の訂正・変更による治療の強度・内容の変更を行い続ける。急性増悪時には生理食塩水静注を当院やかかりつけ医にて行うこともある。かような循環状態のサポートに加えて、患児・家族の精神面の問題への対応も必要である。