[II-OR13-01] 単心室血行動態に続発し得る伝導障害、心室非同期を見据えた戦略的心室ペーシング治療
Keywords:心室ペーシング, 単心室血行動態, 心室非同期
【背景】二心室血行動態患者に対する心室ペーシング治療の知見は確立している。しかし単心室血行動態患者においては、将来起こり得る伝導障害を予見した症例毎の戦略的心室リード留置が必要となる。【目的・方法】当院のペースメーカー(PM)外来で管理され心室ペーシング治療を受けている単心室血行動態患者を抽出し、その治療内容と臨床転帰について検討する。【結果】対象は52例で平均年齢 21.6歳、初回デバイス留置時の平均年齢は10.8歳で、1例がNorwood手術後、9例がGlenn手術時・術後、1例がTCPS術後、34例がFontan手術時・術後に初回留置され、7例が先天性房室ブロックに対する生後早期の留置であった。初回で心室再同期療法(CRT)を行った症例が8例、後にCRT upgradeを要した症例が5例で、比較的容積のある二心室間の非同期が5例、大きな主心室の心室内非同期が6例、両者が同等に混在した非同期が2例で、ペーシング誘発性心筋症が原因の非同期が2例含まれた。手術段階別では、Glenn循環でデバイス留置を要した9例中6例がCRT症例で、うち4例は房室弁形成術に起因する脚ブロックから解剖学的心室間・血行動態的心室内非同期を発症しCRTに至っていた。将来起こり得る房室ブロック、心室非同期を想定し心室リードの先行的留置が行われた症例が17例存在し、うち5例で後にPMを留置、3例でAAIからDDDへupgrade、4例でCRTが留置され、可能な限り再開胸を減らし速やかにupgradeを行うための戦略がとられていた。心室リードの至適留置部位は症例毎に心室形態や流出路形態から検討し、外科医と調整が行われていた。【考察】単心室血行動態においては、症例毎に将来起こり得る伝導障害パターンを想定し、適切な留置部位で速やかなDDD・CRT upgradeが行える心室リード留置戦略が必要である。