[II-OR13-04] 当院における先天性心疾患患者の心不全緩和医療の現状
キーワード:心不全, 緩和医療, advance care planning
【背景】先天性心疾患に伴う心不全での緩和医療の報告は少ないが、近年重要視されており当院でも導入を進めている。【目的】当院における心不全緩和医療の現状とその問題点を明らかにする。【方法】2016年から2021年に当院小児科で緩和医療を導入した先天性心疾患患者4例を対象とした。心疾患の種類、患者の背景、終末期症状、各薬物使用状況、経過について、後方視的に検討した。【結果】症例1、2は18trisomy、DORV、症例3、4は21trisomy、AVSDであった。全例で疼痛緩和ケア科が介入しており、オピオイドの導入は4例、鎮静薬の使用は1例であった。緩和医療導入時の年齢は4ヶ月~30歳、倦怠感、呼吸苦、致死的不整脈などの症状を認めた。症例1は挿管管理で入院継続中、症例2は人工呼吸器補助下で在宅移行が可能であった。症例3、4は外来フォローアップ中で成人期に緩和医療を導入、advance care planning(ACP)を実施した。また訪問医とも連携し、外来受診や入院の頻度も減少させることが可能であった。症例2、3、4ではオピオイドの導入により呼吸苦の軽減を図ることが出来ており、家族の精神的ケアにも繋がった。【結語】緩和医療は心不全が症候性となった段階で早期に導入し、ACPを実施すべきだと推奨されているが、苦痛を自ら表現しない小児や精神発達遅滞のある患者ではそのタイミングは難しい。積極的治療と並行して緩和医療の視点を持ち、家族や他職種と連携しACPを進めることが重要である。