[II-OR14-01] 小児体外式補助人工心臓装着の児をエンパワーメントする動物介在介入-ファシリティドッグ・プログラムの導入-
キーワード:小児体外式補助人工心臓, エンパワーメント, ファシリティドッグ・プログラム
【はじめに】小児体外式補助人工心臓(以下EXCOR)を装着したこどもの補助期間は平均2年弱、最長1000日超である。補助期間中の成長発達支援には、多職種の介入が必要である。当センターでは2021年7月よりファシリティドッグ(以下、FD)による動物介在型心理的サポート、リハビリテーション(以下、リハビリ)等の治療的サポートを開始した。自験例を考察とともに報告する。【対象】2021年7月から2022年1月までにサポートした患者2名(3歳、9歳)。【介入の実際】(症例1)3歳女児。拡張型心筋症に対してEXCORを装着後16か月時点から介入を開始した。FDとの触れ合い、遊びを通して関係性の構築が進み、苦手であった内服も「FDに見てもらう」ことで、自発性を獲得することができた。介入1カ月時点で、理学療法のサポートを開始した際にはバランス、段差昇降などを共に行った。女児はリハビリ中の積極性が増し、理学療法士のプログラムが遂行しやすくなった。(症例2)9歳女児。ミオパチー合併の拡張型心筋症に対してEXCOR装着後20日後から介入を開始した。1年以上にわたる心不全治療中に廃用が進行し、身体コントロール感を喪失していた。また、精神的にも病状への不安、不自由な生活に対する不満、閉塞感が強かった。本症例では、リハビリ促進のため、FDに指示を出すコマンドの教育を計画的に進めた。児は達成感の獲得とともにリハビリへ積極的に参加することが可能となった。【考察】FDプログラムは、ファシリティ(Facility)の意味通り、毎日同じ病院に勤務し、個々の患者家族のニーズに応じた活動を行う。また、看護師資格を持つハンドラーが、動物介在活動を通して、児の状況を評価し、他職種と目標を共有し、計画的な介入を行う。2例の経験から、EXCOR装着児の社会復帰に向けてFDが大きな役割を果たせる可能性があると期待される。