[II-OR14-04] 慢性心不全の成人先天性心疾患患者の健康関連QOL(第2報)
キーワード:成人先天性心疾患, 健康関連QOL, 社会的状況
【背景と目的】慢性心不全の成人先天性心疾患(ACHD)患者365名の社会的状況と健康関連QOLを検討した結果、疾患重症度は軽症から重症まであり、身体的側面のQOLのみ心不全無しより低下していた(第1報)。更に具体的な支援を考えるために、身体状況に影響する属性と健康関連QOLについて分析した。【方法】4施設(大学病院2、総合病院1、小児専門病院1)に通院する18才以上のACHD患者に対して自記式質問紙により年齢、性別、就労、健康関連QOLを、カルテより病名、治療内容を把握した。抗心不全薬内服中を心不全有とし、心不全の有無で比較検討した。【倫理的配慮】当該施設倫理委員会の承認を得た。【結果】対象者1210名のうち、心不全有は365名、平均年齢は34.7才、性別は男性179名(49%)だった。疾患重症度は軽症80名(22.2%)中等症123名(34.2%)重症157名(43.6%)で、年齢は30才以下が、軽症のうち39名(48.8%)中等症は68名(55.3%)重症では137名(87.3%)だった。20-59才で心不全と就労の有無に有意差は無かった。健康関連QOLは、男性は29才以下で身体的側面と精神的側面が有意に低く、30-49才以下で身体的側面のみ有意に低かった(いずれもP<0.05)。女性は39才以下で身体的側面のみ有意に低く(P<0.05)40-49才では有意差は無かった。【考察】青年期は社会で自立した生活を始める時期であり、男性の心不全による精神的側面への影響は、就労の選択や働き方、将来の見通し、身体症状などが推察される。男女ともに軽症、中等症でも青年期から心不全治療を要する病状があり、疾患と治療の理解及び運動療法、社会生活に関する相談を進める支援体制が有用と考えられる。