第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演15(II-OR15)
集中治療・周術期管理 Ⅱ

2022年7月22日(金) 17:50 〜 18:40 第5会場 (中ホールB)

座長:大橋 啓之(三重大学医学附属病院 小児科)
座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院 医学系研究科地域小児・周産期学/移行期・成人先天性心疾患センター)

[II-OR15-03] リンパ管シンチグラフィの異常所見は臨床的予後推測に有用である

鈴木 彩代1, 兒玉 祥彦1,2, 原 卓也1, 島 貴史3, 村岡 衛1, 連 翔太1, 白水 優光1, 倉岡 彩子1, 田尾 克生1, 石川 友一1, 佐川 浩一1 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.宮崎大学医学部附属病院 小児科, 3.福岡市立こども病院 新生児科)

キーワード:乳び胸, リンパ管シンチグラフィ, 術後合併症

【背景】先天性心疾患(CHD)術後乳び胸水において、全身のリンパ流うっ滞やリンパ管構造異常を認める場合予後不良である。この病態は透視下リンパ管造影(LA)やMRIリンパ管造影(MRL)で胸管の描出不良、側副リンパ路形成、皮下へのリンパ流逆流等の所見を確認することで評価可能だが、実際に施行可能な施設は限られる。一方リンパ管シンチグラフィ(LS)はリンパ管の機能的・構造的評価が可能な比較的簡便・低侵襲な検査で、施行可能な施設も多いが、CHD術後乳び胸水症例での報告は少なく、有用性は不明である。【目的】CHD術後乳び胸水症例における、LSの異常所見と臨床的予後の関連を明らかにする。【方法】対象は2019年1月~2021年12月に当院でCHD術後胸水遷延例に施行したLS34件(28例)。足趾間に核種を皮下注射し、分布が平衡に達した画像を使用した。リンパ流うっ滞やリンパ管構造異常を反映すると思われる所見(横隔膜より下半身に停滞する集積、皮下への淡い集積、びまん性・網目状の集積)の有無に着目し、3名の乳び胸診療に従事する小児循環器医が各画像に1~3点(3点が最重症)の得点をつけた。平均得点2.5点以上(重症群)と2.5点未満(軽症群)に分類し、臨床経過との関連を検討した。【結果】LS施行時日齢の中央値(IQR)は129日(41~412日)、術後日数の中央値(IQR)は22日(17~43日)、6例がLSを複数回施行した。得点は1.94±0.68点(平均±SD)、重症度評価の検者間信頼性検定では、Kendallの一致係数が0.808(p<0.05)と良好であった。6か月生存率は重症群68.6%、軽症群95.2%で、2群の生存曲線に有意差を認めた(p<0.05)。また、重症群は軽症群と比べ総ドレーン日数が有意に長かった(58日 vs. 27日、p<0.05)。【考察・結論】LSでの異常所見は臨床的予後を反映した。今後も他検査との比較結果を蓄積することで、LSはCHD術後乳び胸評価において重要な役割をもつ検査となり得る。