[II-OR16-01] 右室心筋緻密化障害の臨床像
キーワード:心筋緻密化障害, 心機能異常, 遺伝子異常
【背景】心筋緻密化障害は主に左室心筋に見られるが、しばしば右室にも著明な肉柱形成を認める症例を経験する。しかし、これまでに症例報告が散見するのみである。
【目的】右室心筋緻密化障害の臨床像を明らかにすること。
【方法】2017年1月から2021年12月までに当院で遺伝学的検査を施行した小児の心筋緻密化障害の症例を対象とした。心筋緻密化障害の症例の中でも、右室心筋が非緻密化層/緻密層比が3以上を右室心筋緻密化障害と診断し、右室心筋緻密化障害群(RVNC群)と非右室心筋緻密化障害群(非RVNC群)の2群に分け、臨床情報ならびに遺伝学的背景について比較検討を行った。
【結果】心筋緻密化障害は126例でそのうち17例がRVNC(男児12例、女児5例)であった。診断時年齢は中央値0ヶ月(0-2.5ヶ月)であり、非RVNC群(中央値7ヶ月(0-6.8年))より若年であった。胎児検診で4例、哺乳不良やチアノーゼといった症状から4例が診断された。家族歴は3例に認めた。先天性心疾患は9例に認められた。死亡は1例のみであった。心臓超音波上、左室駆出率は49.4±23.0%であり、非RVNC群(51.6±17.1%)と有意差は認めなかった(p=1.00)。RVNC群では非RVNC群に比べ、左室側壁の壁運動異常(35.3% vs 11.0%, p=0.017)と、左室心尖部の肉柱形成(94.1% vs 67.0%, p=0.022)が顕著であり、他の領域でも同様であった。病的遺伝子変異は7例(41.2%)に見いだされた。MYH7とTAZ変異が2例であり、ACTC1、NKX2-5、RYR2、TBX5変異が1例ずつであった。
【結語】右室心筋緻密化障害は心筋緻密化障害の13%に認められ、若年で診断されることが多い。また、左室の収縮は保たれるものの、壁運動異常と肉柱形成が顕著であり、通常の心筋緻密化障害の症例とは対照的であった。
【目的】右室心筋緻密化障害の臨床像を明らかにすること。
【方法】2017年1月から2021年12月までに当院で遺伝学的検査を施行した小児の心筋緻密化障害の症例を対象とした。心筋緻密化障害の症例の中でも、右室心筋が非緻密化層/緻密層比が3以上を右室心筋緻密化障害と診断し、右室心筋緻密化障害群(RVNC群)と非右室心筋緻密化障害群(非RVNC群)の2群に分け、臨床情報ならびに遺伝学的背景について比較検討を行った。
【結果】心筋緻密化障害は126例でそのうち17例がRVNC(男児12例、女児5例)であった。診断時年齢は中央値0ヶ月(0-2.5ヶ月)であり、非RVNC群(中央値7ヶ月(0-6.8年))より若年であった。胎児検診で4例、哺乳不良やチアノーゼといった症状から4例が診断された。家族歴は3例に認めた。先天性心疾患は9例に認められた。死亡は1例のみであった。心臓超音波上、左室駆出率は49.4±23.0%であり、非RVNC群(51.6±17.1%)と有意差は認めなかった(p=1.00)。RVNC群では非RVNC群に比べ、左室側壁の壁運動異常(35.3% vs 11.0%, p=0.017)と、左室心尖部の肉柱形成(94.1% vs 67.0%, p=0.022)が顕著であり、他の領域でも同様であった。病的遺伝子変異は7例(41.2%)に見いだされた。MYH7とTAZ変異が2例であり、ACTC1、NKX2-5、RYR2、TBX5変異が1例ずつであった。
【結語】右室心筋緻密化障害は心筋緻密化障害の13%に認められ、若年で診断されることが多い。また、左室の収縮は保たれるものの、壁運動異常と肉柱形成が顕著であり、通常の心筋緻密化障害の症例とは対照的であった。