第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

心筋心内膜疾患

一般口演16(II-OR16)
心筋心内膜疾患 I

2022年7月22日(金) 08:30 〜 09:20 第6会場 (小ホール)

座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)
座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[II-OR16-02] 拘束型心筋症に類似した血行動態を呈する左室心筋緻密化障害の予後

仲岡 英幸, 寶田 真也, 西山 真未, 坪井 香緒里, 岡部 真子, 宮尾 成明, 伊吹 圭二郎, 小澤 綾佳, 廣野 恵一 (富山大学 医学部 小児科学教室)

キーワード:RCM type LVNC, 遺伝子変異, 心血管イベント

【背景】心室の拡張期容積と収縮能は正常で著明な拡張不全を呈する拘束型心筋症(RCM)に類似した血行動態を呈する左室心筋緻密化障害(LVNC)(RCM type LVNC)は非常に稀である。【目的】LVNC症例のうち、RCM type LVNC症例の予後を明らかにすること。【対象と方法】当院で遺伝学的検査を施行し予後調査を行ったLVNC 105例(男54例、女51例)を対象とし、初診時のphenotypeで6群(DCM type LVNC, HCM type LVNC, RCM type LVNC, CHD type LVNC , Arrhythmia type LVNC, Isolated type LVNC)に分類し、遺伝学的背景を含め各群における予後を検討した。【結果】DCM type LVNC (n=10, 9.5%), HCM type LVNC (n=4, 3.8%), RCM type LVNC (n=9, 8.5%), CHD type LVNC (n=30, 28.5%), Arrhythmia type LVNC (n=16, 15.2%), Isolated type LVNC (n=36, 34.2%)であった。予後調査において、心不全症状を全体では40%(42例/105例)に対してRCM type LVNCで88.9%(8例/9例)(p=0.041)、致死性不整脈を10.4%(11例/105例)に対してRCM type LVNCで33.3%(3例/9例)(p=0.071)、塞栓症を全体では2.8%(3例/105例)に対してRCM type LVNCで22.2%(2例/9例)(p=0.010)認めた。またRCM type LVNCの診断年齢中央値は7歳(3歳-12歳)、病的遺伝子変異を88.9%(8例/9例)に認め、変異遺伝子の内訳はTNNI3 (n=5), TNNT2 (n=1), DES (n=1), MYH7 (n=1)であり、観察期間中に心血管イベントを66.7%(6例/9例)に認め、TNNI3遺伝子変異を認めた100%(5例/5例)で発症早期(中央値 4か月)に心血管イベントを認めた。【結語】TNNI3遺伝子変異を認めるRCM type LVNC症例は、発症からの進行が非常に早く、予後不良である。