[II-OR16-03] リフィーディング症候群に伴うたこつぼ型心筋症の小児3例の診断、経過、予後
キーワード:たこつぼ型心筋症, リフィーディング症候群, 巨大陰性T波
【背景】たこつぼ型心筋症(TTC)は情動的・身体的なストレス要因により引き起こされ、巨大陰性T波などの心電図上の特徴的な変化と急性胸痛を有する心基部以外の冠動脈支配を超えた壁運動障害を認め、急激に循環不全に陥る稀な心筋障害である。患者は閉経後の女性が9割を占め、カテコールアミンの過剰と交感神経系の亢進が原因と推測されている。しかし、小児においては報告が限られており、国際的なコンセンサスも確立していない。当院で経験した3例を報告する。【症例1】13歳男児:クローン病と医療ネグレクトにより低栄養状態となり、経過中にリフィーディング症候群(RFS)を発症し、情動ストレスが重なり、apical typeのTTCを発症。VT/VFストームとなったためICUに入室しECMO管理となった。【症例2】14歳女児:神経性食欲不振のため、リスパダール内服と心理カウンセリングを受けていたが、体重が57→29Kg(BMI=11.8)となり、当院入院管理となった。経過中にRFSとなり、Midventricular typeのTTCを発症、循環不全となりICU管理となった。【症例3】5ヶ月男児:家族のステロイド忌避もあり、重症アトピー性皮膚炎のコントロール不良のため、体重減少、電解質異常(Na118, K8.4)、低栄養(Alb2.0)、偽性高アルドステロン症となり、ICU入院管理となった。3例共にICU入室後の経過は良好であった。【考察】小児においてRFSに伴うTTCはこれまで報告が散見され、急激なインスリン分泌に伴う低血糖やそれに伴う交感神経興奮、ACTH, RAS系の亢進によりα1作用による冠攣縮、β1作用による心基部の過収縮や神経原性スタニングが病態に関与していると考えられており、当院の症例でも同様の機序が推測された。【結語】様々な基礎疾患を有していたが、低栄養からRFSとなり、TCCを発症した小児例を3例経験した。集中治療により一過性心機能低下から正常回復し経過は良好であった。