[II-OR16-05] 双胎間輸血症候群(TTTS)の受血児に合併する心筋症の特徴
キーワード:双胎間輸血症候群, 受血児, 心筋症
【背景】双胎間輸血症候群(以下TTTS)の受血児には、レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系ホルモンの作用から心筋肥厚が起こることが知られている。心筋肥厚は10日から2か月で正常化するといわれているが、心筋症が顕在化し予後不良な例もしばしば経験する。【目的】TTTS受血児に合併した心筋症症例の臨床学的特徴を明らかにすること。【方法】対象は2010年から2021年の11年間に出生したTTTS受血児の7例とした。心筋症群(CM群)3例と、非心筋症群(非CM群)4例に分け、臨床情報と心臓超音波所見を比較検討した。【結果】全7症例の出生週数は中央値29週(26-35週)、出生体重1446±597gであった。心筋症群(CM群)の内訳は、肥大型心筋症(HCM)1例、左室心筋緻密化障害(LVNC)2例であった。CM群の内2例は心不全で日齢14に死亡した。出生時の心室中隔(IVS)、後壁(PW)のZ-scoreは、全例2.0以上と心筋肥厚を認めた(CM群vs非CM群=IVS Z-score;2.2±0.8 vs 4.4±2.2, PW Z-score; 3.4±0.9 vs 4.4±1.5)。生後2週では、非CM群ではZ-scoreは低下傾向を示したのに対し(IVS Z-score;4.4±2.2→3.0±1.8, p=0.18, PW Z-score; 4.4±1.5→3.7±3.4, p=0.29)、CM群ではZ-scoreが有意に上昇した(IVS Z-score; 2.2±0.8→5.3±1.5, p=0.04, PW Z-score; 3.4±0.9→6.6±1.7, p=0.01)。【結語】TTTS受血児に合併する心筋症の症例は予後不良であった。生後2週に心筋肥厚が増悪する症例では心筋症の合併を考慮する必要がある。