[II-OR17-04] 小児がん患者の化学療法に伴う心機能障害と放射線治療
キーワード:cancer therapeutics-related cardiac disorder, 小児がん, アントラサイクリン
【背景】小児がん患者に対する化学療法・放射線治療は時に重篤な心不全(cancer therapeutics-related cardiac disorder, CTRCD)に繋がることがあり、早期発見、早期治療が求められている。近年Ejection Fraction of LV (LVEF) のみならず、global longitudinal strain(GLS-LV)がより鋭敏な心機能低下の指標として注目されている。【目的】アントラサイクリン系薬剤を用いた化学療法および放射線治療(radiotherapy, RTx)を行った患者における治療前後での心機能の変化を評価し、そのリスク因子を明らかにする。【対象】2020年から2022年の2年間に当院にてアントラサイクリン系薬剤を用いた化学療法およびRTxを行った小児がん患者で、治療前から治療後まで経過を観察し得た症例14例(男12)。年齢(3~16歳)、観察期間(2~21か月)、アントラサイクリン系薬剤アドリアマイシン換算総投与量(ADR量)(60~560 mg/体表面積)。【方法】がん治療前後での血中BNP測定、GLSを含む心エコー検査を行い、経過中ベースラインよりGLS -LV15%以上の低下(GLSΔ15%)を心機能低下とし、心機能低下を認めた群(A群)と、認めなかった群(B 群)において比較を行った。【結果】両群間において年齢、性別、観察期間、ADR量、治療前のBNP値、治療前GLS-LV値、治療前LVEF値で有意差はなかった。RTx (3~55.8Gy)を併用した4例はすべてA群に含まれた。観察期間中EF <50%を呈した症例はなかった。A群のうち6か月以上経過を観察しえた症例5例中4例は回復傾向を認めた。【まとめ】放射線治療と化学療法の併用は、心機能低下を引き起こす可能性があり慎重なフォローが必要である。