[II-OR17-05] 当院で経験した結節性硬化症患者における心臓腫瘍の臨床像と管理についての検討
キーワード:心臓腫瘍, 結節性硬化症, フォローアップ
【背景】小児の心臓腫瘍は稀な疾患であり,その多くは横紋筋腫であり、基礎疾患として結節性硬化症(TSC:tuberous sclerosis complex)の頻度が多い。心横紋筋腫は通常新生児や乳児で発見され、2歳未満のTSC患者の66-83%に認められる。本研究は、当院でのTSC患者の心臓腫瘍の臨床像を明らかにすることである。【対象と方法】2000年1月以降の22年間に当院で診療を行ったTSCの診断を受けている18例を対象とし、診療録を元に心臓腫瘍発見の契機、大きさ、臨床経過について調査した。【結果】18例の患児のうち心臓腫瘍を有したのは12例(78%)で、心臓腫瘍を認めない6例はいずれも幼児期にけいれん、WEST症候群から診断に至っていた。心臓腫瘍は4例(33%)で出生前に指摘、8例が出生後に診断され、腫瘍最大径は 5.8mm~24.7mm(中央値8.9mm)。経過中に心室流入出路障害を来した症例は5例、不整脈を認めた症例は3例であったが、すべて内科的に管理された。観察期間は3ヶ月から17年(中央値6年)で、すべての症例で縮小を認めているが、完全に消失したのは4例(33%)のみであった。遺伝子検査は7例で施行し、その後の家族検索にて母の心筋内脂肪腫、心室頻拍を診断し治療につなげることができた症例を経験した。【結語】心横紋筋腫は TSC の最も早い兆候であり、胎児診断される症例も多く、小児循環器医がその初期の治療、病状説明に関わる機会も多い。TSCに伴う心臓腫瘍は概ね予後良好であるが、TSCの成人期に至るまでの全身管理および家族検索を含めたチームでのフォローアップ体制において小児循環器医の担う役割は大きい。