[II-OR19-01] failing Fontan に対するfenestration stentの有用性
Keywords:fontan, fenestration, failing Fontan
【はじめに】Fontan手術におけるfenestrationはFantan手術後の急性期心不全への対応策としてだけではなくfailing Fontanに対する治療オプションとしても位置付けられており、近年fenestration外科的作成の代用に経皮的fenestration stent留置を考慮することが増加してきた。【目的】fenestration stent留置の有用性を明らかにすること。【対象・方法】2015年1月から2021年12月に経皮的fenestration stent留置を行った症例に対して後方視的に検討した。【結果】 対象期間に fenestration stent留置を行ったのは9例、男5, 女4. 施行時年齢median 5.5 years (range: 2.6-12.3 ), 体重median 14.5 kg ( 9.4-23.6 )。 疾患の内訳はHLHS7, Tricuspid atresia 1, Truncus 1。stent留置理由はPLE(蛋白漏出性胃腸症)単独5例, PLE+PB(鋳型気管支炎)2例, 術後急性期心不全2例であった。1例のみfenestration残存あったが8例は完全閉塞しており,穿通を要した。穿通手技はBrockenbrough針使用7例, wire1例, 穿通時のガイドはICE4例, TEE4例であった。留置stentは(径x長さ)4x19mm 1例, 5x15mm 1例, 5x19mm5例, 6x18mm1例, 7x17+5x19mm１例。留置前→後でCVP15.9→13.8mmHg (p＜0.05), SaO2 93.9→86.8%(p＜0.05), Cardiac Index 2.8→3.8 l/min/m2 (p＜0.01)。臨床効果としてPLEは 7例中6例が寛解または部分寛解を認め、PBは2例中２例改善、術後急性期心不全は2例中2例改善を認めたが1例は遠隔期に心不全で失った。合併症はチアノーゼ増悪のためfenestrationサイズ縮小を同日必要としたものが1例、遠隔期に脳梗塞をきたしたものが1例であった。【まとめ】failing Fontan症例 に対するfenestration stent留置術は臨床症状の改善に寄与する可能性があり、重要な治療オプションになりうる。しかし、fenestrationに依存するような重症心不全例ではFontan手術適応そのものも再考する必要もあると考える。