The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

自律神経・神経体液因子・心肺機能

一般口演20(II-OR20)
自律神経・神経体液因子・心肺機能

Fri. Jul 22, 2022 5:50 PM - 6:40 PM 第6会場 (小ホール)

座長:栗嶋 クララ(厚生労働省)
座長:高橋 健(順天堂大学附属浦安病院 小児科)

[II-OR20-02] Wenckebach型2度房室ブロックの「頻度」と「自律神経関与」による病型分類

高橋 努 (済生会宇都宮病院 小児科)

Keywords:2度房室ブロック, 心拍変動解析, 自律神経

【背景】心拍変動の周波数領域解析で、高周波数(HF)成分は副交感神経活動、低周波数(LF)成分は主に交感神経活動、一部副交感神経活動の影響を受ける。LF/HFは交感神経活動の指標とされている。【目的】Wenckebach型2度房室ブロック(W型AVB)発生前後の自律神経活動を心拍変動解析を用いて明らかにし、病型を分類する。【対象】基礎疾患を否定した7-25歳のW型AVB94名(男性47名、女性47名)、のべ170回のホルター心電図を解析。夜間1回から散発程度を夜間散発群(103回)、夜間頻発するものを夜間頻発群(24回)、1日中観察されるものを終日群(43回)とした。【方法】ホルター心電図でW型AVB発生直前の20分間及び発生後5分間を5分毎に分け、発生直前からT1、T2、T3、T4とし、発生後をT0とした。それぞれの心拍変動解析(HF、LF、LF/HF)を行った。また、夜間頻発群と終日群の中で、運動負荷心電図でAVBを認めた47人を、運動負荷後の反応により改善群と悪化群に分け、同様に比較した。【結果】LF及びHFはすべての群でT1からT0にかけて有意に増加し、LF/HFは変化がなかった。運動負荷後のAVBの反応性は、夜間頻発群15人は全員が改善し、終日群は改善23人、悪化9人だった。改善群のLF及びHFはT1からT0にかけて増加し、LF/HFは増加はなく悪化群に比べ低値だった。悪化群のLF及びHFはT1からT0にかけて増加なく、LF/HFは悪化群に比べ高値だった。【考察】夜間散発群と夜間頻発群のAVB出現には副交感神経が関与している。終日群のAVB出現には運動負荷後の反応性により分けられ、改善群は副交感神経、悪化群は交感神経が関与している。W型AVBの病態はAVBの「頻度」と「自律神経関与」の2軸で分けられ、特に終日群かつ運動負荷後の悪化群は交感神経が関与するため、他群に比して運動制限や長期フォローも検討する必要がある。夜間散発群かつ運動負荷後の悪化群も1例見出したが、交感神経が関与していた。この群の管理方法も今後の課題である。