[II-OR20-03] 思春期のフォンタン患者における体組成の特徴
キーワード:Body composition, DXA, MFR
【背景】成人のフォンタン患者では筋肉量の低下と脂肪量の増加が運動耐容能の低下に関与しているとされている。【目的】フォンタン患者における思春期での体組成の特徴を明らかにする。【方法】2019年7月から2022年1月にDual X-ray Absorptiometry(DXA)とともに心肺運動負荷試験(CPX)、握力測定を施行した10-18歳のフォンタン患者23例(12.9±2.3歳、女児8例)を対象とした後方視的単施設観察研究。DXA法による体組成の性別・年齢別の各基準値はKimらの報告(PLoS One. 2016)を、握力の性別・年齢別の基準値はスポーツ庁の令和2年度体力・運動能力調査報告書を基に検討した。【結果】Skeletal Muscle Index(SMI:四肢骨格筋肉量/身長2乗)5.6±1.0(92.2±13.0%N、Z-score -4.9±8.1)、Fat Mass Index(FMI:全身脂肪量/身長2乗)2.9±1.0(54.3±20.0%N、Z-score -9.8±4.9)、Skeletal Muscle-to-Body Fat Ratio(MFR:四肢骨格筋肉量/全身脂肪量)2.1±0.8(160.7±57.4%N、Z-score 7.6±7.7)。加齢によってFMIは増加するがSMIはほぼ不変で、MFRは低下していた。握力(%predicted)とSMI(%N)、peak VO2(%predicted)とMFR(%N)は各々正の相関を認めた(R=0.49、R=0.45)。【結語】思春期のフォンタン患者では筋肉量・脂肪量ともに低下していた。脂肪量は学童期での低下は顕著だが、成人に近づくにつれて増加した。一方、低下した筋肉量の割合は成人に近づいても変化は見られなかった。思春期における体組成の変化が成人期の運動耐容能低下に影響すると考えられた。