[II-OR21-01] Super Fontan患者の頻度と臨床的特徴
キーワード:Super Fontan, 運動耐容能, 多臓器機能
背景:"Super Fontan(SF)"は運動耐容能が健常者と同等(80%以上)であるフォンタン循環(F)患者と定義され良好な遠隔期F患者の臨床表現系である。SFはF患者の遠隔期の治療と管理法を模索する上で重要な一群と考えられている。目的: SFの頻度を含めた臨床的特徴を明らかとすること。方法と結果:当院で心肺運動負荷試験(CPX)が施行されたF患者連続412例中負荷が充分とされた400例を対象とした。最高酸素摂取量が健常者の80%以上であったSFは76例(19%)で若年で男性が多かった(p<0.01)。SFの割合は術後5年、10年、15年と20年で各々16例(35%)、29例(38%)、18例(19%)と13例(14%)で25年以降は存在せず、年齢別では10歳未満、10代と20代で各々15例(39%)、46例(31%)、15例(11%)で30代以降には存在しなかった。SFは非SFに比べ高い体血圧と酸素飽和度と低いBNP濃度を除けばCPX時の心機能と心血行動態に差はなかったが、フォンタン手術前の低い肺血管抵抗と房室弁を含めた良好な心機能と関連していた(p<0.05 - 0.01)。また、SFは非SFに比べCPX時の良好な体組成バランス(脂肪、非脂肪組織)、呼吸機能(肺活量、一秒量、CO拡散能)、肝腎機能、止血凝固線溶機能、耐糖能及び抹消血液像と関連していた(p<0.05 - 0.001)。CPX後の平均3.7年の経過観察で25例が死亡、74例に入院イベントが発生していたが、SFに死亡はなく入院イベントも非SFに比べ67%少なかった(p<0.01 - 0.001)。結論:SFの頻度は術後15年以降加齢とともに急速に減少し術後25年以降は消失していた。SFは遠隔期の心血行動態ではなく、F手術前の良好な心血行動態条件、遠隔期の良好な体組成と多臓器機能を特徴とし良好な予後と関連した。