[II-OR21-02] Fontan conversionの中遠隔期予後について
キーワード:Fontan conversion, 中遠隔期予後, 房室弁逆流
【背景】APC Fontanなどclassic-Fontan typeからのconversion手術は安全でかつ血行動態や不整脈の改善に寄与すると報告されているが、中遠隔期予後については不明である。【目的】Fontan conversion術後中遠隔期の心血管イベントの発生理由、発生率並びに関連する因子について検討する事。【対象・方法】2021年12月までに当院でFontan conversion手術を行った107人のうち、院内死亡5人を除く102人が対象。診療録を用いて後方視的に検討。観察期間は中央値5.3年 (0.1-21.1年)、男性49人、conversion手術年齢は中央値25.9歳 (4.7-45.9歳)、初回Fontan手術からconversion手術までの期間は中央値19.1年 (2.4-36.6年)。心血管イベント (eventあり: 37人、eventなし: 65人)の有無の二群間に分け、患者背景、conversion手術時状況、conversion手術後の血行動態との関連について検討した。【結果】遠隔期死亡は6人、心血管イベントによる入院は37人に認めた。入院の原因は不整脈10人、チアノーゼ7人、体心室心不全5人、右心不全4人、PLE3人、その他8人。Kaplan-Meier法による入院回避率は5年で71%、10年で52%、15年で 28%。心血管イベントによる関連する因子はPLE(eventあり: 4/37、eventなし: 0/65、 p<0.05)、conversion手術時の大動脈遮断時間(eventあり: 117±46分、eventなし: 78±40分、p<0.0001)、弁(大動脈弁: 3人、房室弁: 16人)への外科的介入(eventあり: 11/37、eventなし8/65、p<0.05)、conversion術後の中等度以上の房室弁逆流(eventあり: 18/37、eventなし; 3/65、p<0.001)であった。また房室弁逆流に対して外科的介入を行った症例では47%で術後も中等度以上の房室弁逆流を認めた。【結語】Fontan conversion術後10年で50%程度の心血管イベントによる入院を認めた。conversion術後もPLEは改善せず、conversion手術時の弁への外科的介入、術後の房室弁逆流が心血管イベントのリスクとなる。