一般口演21（II-OR21）
術後遠隔期・合併症・発達 I

[II-OR21-03] Fontan術後遠隔期の洞機能不全と術前予測因子

^○豊島 由佳¹, 田中 敏克¹, 三木 康暢¹, 松岡 道生¹, 亀井 直哉¹, 小川 禎治¹, 富永 健太¹, 城戸 佐知子¹, 松久 弘典², 大嶋 義博² (1.兵庫県立こども病院 循環器内科, 2.兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:洞機能不全, 徐脈, Fontan術後

【背景】Fontan術後患者には洞機能不全(SND)が多くみられ、遠隔期の循環に寄与する重要な合併症である。Fontan術後患者のSND発生の実態と術前予測因子について後方視的に検討した。【方法】2015年4月から2020年12月にFontan手術を施行した59例を対象とした。除外項目をconversion症例とFontan手術前よりSNDを認めた例とし、6例を除外した。53例（手術時年齢中央値2.2歳、手術からの観察期間中央値4.1年、男性29例、死亡1例）について検討した。SNDは房室接合部調律、もしくは心拍数60 bpm以下の徐脈とした。背景因子、手術前評価の血行動態指標、conduit径、fenestration、人工心肺時間、同時施行手技、conduit側、術前心不全指標(BNP), 腎機能(Cr)、肝機能(γGTP)との関連を後方視的に検討した。【結果】14例(26.4%)でSNDを認めた。診断、心室形態、相同心、両側SVC、総肺静脈還流異常修復術の有無、出生体重、週数と関連はなかった。右胸心でSNDを多く認めた(p＜0.05)。SNDは同時手技の肺動脈形成なし（p＜0.05）、conduitが心尖側(p＜0.05)と関連を認めた。グレン施行年齢、Fontan施行年齢、体重、人工心肺時間、房室弁形成、conduit径、fenestration、術前評価PAI, EDVI, EF, PAP, Qs, SaO2と関連はなかった。SNDは術前RAP低値(p＜0.05)、Rp高値(p＜0.05)と関連を認めた。術前BNP, Cr, γGTPと関連はなかった。【考察】洞結節の圧排を避けることを企図したFontanルートのデザインは術後SND発症を予防する可能性が示唆された。