The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演21(II-OR21)
術後遠隔期・合併症・発達 I

Fri. Jul 22, 2022 8:30 AM - 9:20 AM 第7会場 (ルーム204)

座長:先崎 秀明(こども未来づくり総合サポートセンターちょこ 代表)
座長:中島 弘道(千葉県こども病院 循環器内科)

[II-OR21-04] フォンタン循環不全の終末期における在宅医療と病院連携

荻野 佳代, 濃野 優, 山内 真由子, 土井 悠司, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)

Keywords:終末期, フォンタン術後症候群, 緩和ケア

【はじめに】フォンタン循環不全は難治性で予後不良な病態であり、緩除に悪化しながら長期にわたり医療を要することが多い。心身ともに発達段階にある学童期や思春期に発症する例においては、患者を取り巻く社会環境、患者本人の疾患理解が大きく変化し、社会的問題、心理的問題を生じやすい。鋳型気管支炎、難治性腹水を発症し、14歳に死亡した症例を経験した。在宅医療と病院の連携により、社会とのつながりを維持しながら、患者および家族のニーズに合わせた医療を提供できた。【症例】享年14歳女性。無脾症候群、右室型単心室、共通房室弁口、肺動脈狭窄、総肺静脈還流異常、心房頻拍、房室ブロックによるペースメーカー植え込み後。日齢8に総肺静脈還流異常修復術、生後4ヵ月に両方向性グレン術、三尖弁形成術、2歳4ヵ月にフォンタン循環に到達。9歳に鋳型気管支炎および腹水貯留を認めた。腹部膨満、呼吸苦、浮腫、血性喀痰増加のため、10歳より症状緩和を目的とした腹腔ドレナージを反復した。11歳にはドレナージのため月2、3回の入院を要し、12歳には週1回以上となったため、訪問診療医との連携を開始。アルブミンなどの補充を病院で行い、在宅にて腹腔ドレナージを継続した。身体疾患の重篤さに加え、思春期特有の葛藤から、学校や家庭での生活に困難を生じたものの、医療者の役割分担を明確にして病院と在宅双方でサポートした。また患者家族、医療者で予後の見通しを共有し、希望を尊重して看取りの方法や場所を決定した。死亡直前まで病院と在宅の両方で治療を継続し両者で症状緩和を調整し、希望する最期の場を提供した。【まとめ】ある段階からの病院から在宅への移行ではなく、継続して連携した医療を提供することで、生活を送りながらこれまでの治療を継続したい患者家族のニーズを満たすことができた。フォンタン循環不全の終末期医療において、患者家族の生活の質を維持することにつながった。