The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演21(II-OR21)
術後遠隔期・合併症・発達 I

Fri. Jul 22, 2022 8:30 AM - 9:20 AM 第7会場 (ルーム204)

座長:先崎 秀明(こども未来づくり総合サポートセンターちょこ 代表)
座長:中島 弘道(千葉県こども病院 循環器内科)

[II-OR21-05] 早期フォンタン手術は洞機能不全の原因になるか

鍋嶋 泰典, 葭葉 茂樹, 小島 拓朗, 戸田 紘一, 小林 俊樹, 住友 直方 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

Keywords:フォンタン手術, 洞機能不全, 心外導管法

【背景】フォンタン術後に発生する洞機能不全(SND)は、心拍応答を悪化させるだけでなく、難治性の接合部調律、上室性頻拍の原因となる.フォンタン循環破綻の原因となり得るSNDの予防は重要である.【目的】フォンタン術直後に発生するSNDのリスクファクターを割り出すこと.【対象】2010年1月から2022年1月に当院で行ったフォンタン手術61例(左側相同5例).フォンタン手術前にすでにペースメーカー植え込み(PMI)を行った例は除外.手術月齢(平均,range):28,18ー87. 体重(kg):10.9,7.8ー16.6.Extra cardiac conduit(ECC)法:56例、Lateral tunnel(LT)法:5例.【結果】手術月齢22未満:14例(23%)、20未満:10例(16%).フォンタン手術後SND:8例(13%).SND改善せず恒久的ペースメーカー植え込み(PMI):6例(10%).PMI行わなかった2例もSNDの改善は認められなかった.<SNDリスクファクター>LT法後にSND合併はなかった.ロジスティック回帰による多変量解析では、左側相同(P<0.001)、手術月齢22未満(P=0.009)で術後SNDリスクが有意に高かった.疾患名、体重、ECC人工導管サイズには有意差を認められなかった.<PMIリスクファクター>SDN発症した75%にPMIを行った.左側相同(P<0.001)、手術月齢20未満(P= 0.006)でPMIリスクが有意に高かった.【考察】ECC法人工導管による洞機能への物理的影響がSND発症のリスクとなっている可能性がある.もともとSND合併が多い左側相同では、ECC術を契機に悪化することが予想された.今回の統計解析では、低月齢ECC術は非可逆性SNDを発症するリスクが高いことを示した.多くの報告のように2-3歳のECC術が理想的だと考察する.【結語】SND予防の観点では、ECCフォンタン手術は2歳以降に行うことが望ましい.