The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演22(II-OR22)
術後遠隔期・合併症・発達 II

Fri. Jul 22, 2022 9:30 AM - 10:20 AM 第7会場 (ルーム204)

座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)
座長:山村 健一郎(福岡市立こども病院 循環器集中治療科)

[II-OR22-05] 在宅陽陰圧体外式人工呼吸器療法により蛋白漏出性胃腸症が改善したfailed Fontanの小児例

大島 康徳, 木村 瞳, 伊藤 諒一, 野村 羊示, 鬼頭 真知子, 森鼻 栄治, 河井 悟, 安田 和志 (あいち小児保健医療総合センター)

Keywords:failed fontan, PLE, 陽陰圧体外式人工呼吸器(BCV)

【背景】Fontan術後の合併症である蛋白漏出性胃腸症(PLE)は予後不良であり、有効な治療法は確立されていない。一旦発症すると日常生活制限や頻回の入院管理を要する場合が多く患者のQOLは著しく低下する。近年Fontan術後の循環不全に対し陽陰圧体外式人工呼吸器(biphasic cuirass ventilator;BCV)が有効との報告が散見される。今回、片肺Fontan術後遠隔期にPLEを発症したが、在宅BCV療法により改善がみられステロイドの減量に成功した小児例を経験したので報告する。【症例】13歳男児。無脾症候群、機能的右室型単心室、肺動脈閉鎖、総肺静脈還流異常。複数回の姑息手術後、右肺静脈が完全閉塞し、3歳時に片肺Fontan手術が行われた。術後の心臓カテーテル検査でのCVPは23mmHgで、5歳時にPLEを発症。プレドニゾロン(PSL)内服によりPLEは小康状態であったが、9歳時に内服を中止したところPLEが再燃し、PSLを再開した。一旦改善がみられたが、11歳1か月時にPLEが再燃。さらにステロイド減量中に副腎クリーゼも出現し、増量を余儀なくされた結果、高度低身長(-7.8SD)、中心性肥満の他、肛門周囲膿瘍、骨粗しょう症、低Na血症、尿路結石を合併し、管理に難渋。11歳8ヵ月にBCV療法を導入したところPLEの改善がみられ、在宅BCV療法(1回15分、1日2回)へ移行。PLEの再燃なくステロイドが減量できた。心臓カテーテル検査にてCI=3.67 l/min/m2 (Fick法)と維持され、CVPは12mmHgと著明に改善した。【考察】BCVはFontan術後の急性期合併症治療にてその有効性が示されたが、胸腔内圧が低下することで静脈還流量が増え、肺血流、心拍出量が上昇しその効果が発揮される。たった1日30分間の使用でも在宅で継続的に行うことによりCVPの低下を誘導しPLEの改善およびその維持に寄与すると考えられる。【結語】在宅BCVによる継続的体外的呼吸補助は肺循環、ひいてはfailed Fontanを改善する一助となりうる。