[II-OR23-02] 先天性心疾患術後合併腎症早期発見におけるアルブミン尿測定の重要性
Keywords:フォンタン術後症候群, アルブミン尿, 学童
【背景】先天性心疾患(CHD)術後合併腎症は、高血圧や蛋白尿を呈する病態であり、成長や発達に関わる小児特有の合併症を引き起こすため、その早期発見は重要である。成人では腎症の早期診断にアルブミン尿の有用性が報告されているが、CHD術後小児患者におけるアルブミン尿については検証されていない。【目的】CHD術後合併腎症早期発見に就学前アルブミン尿が有用か検証する。【方法】2012年~2015年に当院で新生児期~乳児期早期に心臓手術を行ったCHD患者339例のうち、就学前に血液・尿生化学検査、心臓カテーテル検査を施行した 62例(早産児、腎尿路奇形、染色体・遺伝子異常は除外)を対象とした。推算糸球体濾過量(eGFR)は、クレアチニン(Cr)・シスタチンCから算出した。アルブミン尿は、尿中アルブミン/Cr比(mg/g・Cr)を測定し重症度分類を行った。対象患者群におけるアルブミン尿の頻度、尿中アルブミン/Cr比と理学所見・検査所見との関連性について解析した。【結果】Fontan群20例、Fallot四徴症群10例、Control群(その他CHD)32例で、検査時の年齢中央値5.9歳、顕性蛋白尿はなかった。微量アルブミン尿(尿中アルブミン/Cr比 30~299)は 4例で検出され、全例Fontan群であった(p<0.001)。Fontan群における微量アルブミン尿陽性群と陰性群の比較では、BNP値、カテーテル検査値や内服薬との関連性はみられず、陽性群でシスタチンC-eGFRが有意に低値(p<0.001)だった。微量アルブミン量は、Cr-eGFRと相関なく、シスタチンC-eGFRと負の相関(r=-0.632, p<0.001)がみられた。【考案・結語】アルブミン尿検出は、糸球体基底膜のバリアー破綻や尿細管での再吸収低下を意味し、シスタチンC-eGFRと強い相関関係を示すことが分かった。Fontan術後症候群における就学前アルブミン尿測定は早期腎症発見に有用と考えられた。