[II-OR23-05] ファロー四徴修復後患者に対する加算平均心電図の意義
キーワード:加算平均心電図, ファロー四徴, 突然死
【緒言】加算平均心電図(SAECG)により得られる心室遅延電位(LP)は伝導遅延を伴う障害心筋の存在を示唆し、虚血性心疾患においては不整脈事故の予知指標として認識されているが、先天性心疾患に対するSAECGの意義は明確でない.【目的】TOF術後例に対するSAECGの意義を明らかにすること.【方法】対象は2019-21年にSAECGを施行したTOF術後38例. SAECGの3指標(fQRSd, RMS40, LAS40)と、同時期に評価した血行動態指標との関連を検討するのに加え、既知の心臓突然死リスク因子(SCDRF)( 1)QRS間隔>180ms, 2)不整脈(NSVT/SVT)合併, 3)RV/LV収縮期圧比>0.7, 4)右室容量負荷(RVEDVI>160ml/m2 or RVESVI<80ml/m2), 5)LVEF<40%, 6)LVEDP>10mmHgと定義)との関連を検討した.【結果】検査時年齢は平均23.7±11.7歳, TOF修復術からの経過年数は18.1±10.9年. LP陽性(SAECG 2/3指標以上陽性)は14例(3指標陽性は10例)、陰性は24例. LP陰性群でRMS40とLAS40の陽性基準を満たす例はいなかった. LP陽性群は、初回修復術からの経過年数が有意に長く、心拍出量(CI)とLVEFは低値で, LVESVIは高値だった(P<0.05). SCDRFとの関連については、LP陽性群で不整脈合併が有意に多かったが、その他のSCDRFはLP陽性/陰性間で有意差はなかった. SAECGの指標別で検討すると、fQRSd, RMS40, LAS40全てがLVEF低下と有意に関連した(p<0.01). 評価後、観察期間1.7±1.2年の間にSCDはなかったが、LP陽性(3指標陽性)の1例がVFを発症した.【結語】TOF術後例においてSAECGで得られるLPや各指標(fQRS, RMS40, LAS40)は左室機能と関連しており、LP陽性群ではNSVT/SVTの不整脈合併が有意に多かった.