The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

成人先天性心疾患

一般口演24(II-OR24)
成人先天性心疾患 I

Fri. Jul 22, 2022 3:40 PM - 4:30 PM 第7会場 (ルーム204)

座長:立野 滋(千葉市立海浜病院 成人先天性心疾患診療部)
座長:手島 秀剛(市立大村市民病院 小児科)

[II-OR24-04] 九州大学病院でのFontan患者の妊娠における経過と問題点

永田 弾1, 城戸 咲2, 坂本 一郎3, 坂井 淳彦2, 西崎 晶子3, 豊村 大亮1, 長友 雄作1, 平田 悠一郎1, 山村 健一郎1, 大賀 正一1 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 産科, 3.九州大学病院 循環器内科)

Keywords:Fontan, 妊娠, 出血イベント

【背景】Fontan術後の妊娠は中等度以上のリスクがあるとされており、妊娠分娩管理には注意を要するが、抗凝固療法を含め管理方法が確立されているとは言い難い。本研究の目的は九州大学病院におけるFontan妊娠管理の問題点を明らかにし今後のよりよい管理を目指すことである。【方法】九州大学病院でこれまでに経験したFontan妊娠症例について、診療録から後方視的に患者情報を収集した。【結果】これまでに9例12妊娠を経験し、そのうち4例は流産で、1例は現在妊娠継続中である。分娩に至ったのは7例で、うち1例は双胎妊娠であった。7例の妊娠時年齢は中央値(範囲) 27(23-31)歳で、原疾患は三尖弁閉鎖が5例と最も多く、Fontan手術はEC法が3例、LT法が4例であった。妊娠前の酸素飽和度は95(91-97) %、中心静脈圧は 9(8-12) mmHgで安定したFontan循環であった。抗凝固はワーファリンを中止し、未分画ヘパリンの皮下注射もしくは入院での持続点滴を行った。妊娠経過中、4例で妊娠中期に房室弁逆流増悪がみられ、同じ症例でBNPの上昇もみられた。うち2例には息切れなどの症状が出現した。心臓MRIでの心拍出量は妊娠中期で5.76(5.08-7.6) L/minと増加がみられた。D-dimerは妊娠中期に軽度上昇を認めたが[1.7 (0.5-2.7)μg/m、血栓イベントはなかった。一方で、2例で妊娠初期から絨毛膜下血腫を認め、2例で帝王切開後の腹腔内出血がみられた。分娩は5例で帝王切開が行われ、2例で無痛分娩であった。分娩後半年以降では、増悪してた弁逆流は全例で改善がみらた。在胎週数は34(29-37)週で、出生体重は1763(980-2285)gで低出生体重児の傾向にあり、2例で軽度の呼吸障害がみられた。【結論】Fontan循環における妊娠では、母体、胎児、新生児に様々な合併症が起こりうることが示唆された。特に、房室弁逆流の増悪や出血イベントの出現には注意を要し、その管理や予防について更なる検討が必要と考えられた。