[II-OR25-01] 鉄欠乏状態は思春期および成人期の先天性心疾患患者の心不全の予後を悪化させる。
キーワード:鉄欠乏, 貧血, 心不全
【背景】鉄の欠乏は赤血球膜の変形を起こし、過粘調状態および末梢循環不全を引き起こすとされる。心不全患者は鉄欠乏を合併しやすく予後と関連する報告があるが、先天性心疾患患者における報告は少ない。今回我々は思春期および成人期の先天性心疾患患者における鉄代謝と心不全の予後の関係を検討した。
【方法および結果】対象は2018年から2020年まで当科に入院しフェリチンの測定をした150名。年齢中央値36歳(13-75歳)で男性が57%、単心室循環が38%であった。鉄欠乏はフェリチン値<100ng/mLもしくはフェリチン値 100-300ng/mLの時はトランスフェリン飽和度(TSAT)<20%と定義し、貧血は推定ヘモグロビン値(61-(酸素飽和度/2))より2以上低値と定義したところ、鉄欠乏状態を58%に認め, 鉄欠乏性貧血は18%に認めた。鉄は最大酸素摂取量(peakVO2)や6分間歩行距離、BNPと相関を認めなかったが、フェリチンは6分間歩行距離と多変量解析で有意に相関を認めた(r=0.49, p<0.001)。年齢と性別でマッチングした単心室群は2心室群と比較し、鉄が低値(中央値69 vs. 96μmol/L , p=0.031)で、TSAT(同22 vs. 28%, p=0.017)、peakVO2も低値(14.3 vs. 22.1mL/kg/min, p=0.023)であった。Kaplan-Meier解析では、平均16カ月の観察期間において、鉄欠乏状態および鉄欠乏性貧血は心不全入院の危険因子であり、比例ハザードでリスク比は6.0および4.5であった。一方でフェリチン1000ng/mL以上の鉄過剰状態はリスクとはならなかった。
【結論】思春期および成人期の先天性心疾患において、鉄欠乏状態は心不全の予後に関わるため、鉄代謝を定期的にフォローし必要時は鉄剤の補充を行うことが予後改善に有用である可能性が示された。
【方法および結果】対象は2018年から2020年まで当科に入院しフェリチンの測定をした150名。年齢中央値36歳(13-75歳)で男性が57%、単心室循環が38%であった。鉄欠乏はフェリチン値<100ng/mLもしくはフェリチン値 100-300ng/mLの時はトランスフェリン飽和度(TSAT)<20%と定義し、貧血は推定ヘモグロビン値(61-(酸素飽和度/2))より2以上低値と定義したところ、鉄欠乏状態を58%に認め, 鉄欠乏性貧血は18%に認めた。鉄は最大酸素摂取量(peakVO2)や6分間歩行距離、BNPと相関を認めなかったが、フェリチンは6分間歩行距離と多変量解析で有意に相関を認めた(r=0.49, p<0.001)。年齢と性別でマッチングした単心室群は2心室群と比較し、鉄が低値(中央値69 vs. 96μmol/L , p=0.031)で、TSAT(同22 vs. 28%, p=0.017)、peakVO2も低値(14.3 vs. 22.1mL/kg/min, p=0.023)であった。Kaplan-Meier解析では、平均16カ月の観察期間において、鉄欠乏状態および鉄欠乏性貧血は心不全入院の危険因子であり、比例ハザードでリスク比は6.0および4.5であった。一方でフェリチン1000ng/mL以上の鉄過剰状態はリスクとはならなかった。
【結論】思春期および成人期の先天性心疾患において、鉄欠乏状態は心不全の予後に関わるため、鉄代謝を定期的にフォローし必要時は鉄剤の補充を行うことが予後改善に有用である可能性が示された。