[II-OR25-02] 成人期に診断された心房中隔欠損
Keywords:心房中隔欠損, 成人先天性心疾患, 心電図検診
【背景】心房中隔欠損(ASD)は学童期に発見され無症状で治療されれば予後良好な疾患とされているが、成人期に有症状で発見される症例も散見される。【目的】成人期に発見されるASDの臨床像を明らかにする。【対象および方法】2008年以降当科で精査したASD328例のうち16歳以上の49例(P群)(男14/女35、38.8±17.9歳)について、6歳未満の121例(A群)および6~15歳の158例(B群)と診断契機、心電図所見(右軸偏位、rSR`型不完全右脚ブロック、V4誘導の陰性T波、II III aVF誘導のCrochetage パターン、V6誘導の幅広いS波)、不整脈の有無、臨床経過について比較検討した。【結果】P群のASD病型については2次孔型48例、静脈洞型1例で部分肺静脈還流異常合併例を2例認めた。診断契機は有症状および検診が18/49例(36.7%)で最も多く、A群では心雑音71/121例(58.7%)が、B群では検診109/158例(69.0%)が主要診断契機だった。A群では染色体異常など基礎疾患合併例を13/121例(10.7%)に認めたがP群では基礎疾患合併例はなかった。心電図所見ではrSR`型不完全右脚ブロックをA群66.5%、B群65.8%に認めたが、P群では32.7%に認めるのみだった。他の指標もAB群に比べ低い陽性率だったが、Crochetage patternのみ36/49例(73.5%)でAB群に比べ高い陽性率だった(A群63.6%、B群61.4%)。不整脈についてはA、B群ではほとんど認めなかったが、P群では8/49例(16.3%)(上室性不整脈5例(心房細動ABL後3例)、心室性不整脈3例(心室頻拍ABL後1例))に認めた。心エコー検査での最大ASD径は14.7±4.9mmで多くの症例がカテーテル治療を選択されていた(P群38/49例(77.6%)、A群41/121例(33.9%)、B群80/158例(50.7%))。【考察】成人期に発見されるASDは体格に比し比較的小さな欠損孔だが不整脈など有症状を伴う症例が多い。心電図検診で発見されない症例も多いがCrochetage pattern認める症例が多く、検診などでの早期発見に有用と考えられる