第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

成人先天性心疾患

一般口演25(II-OR25)
成人先天性心疾患 II

2022年7月22日(金) 16:40 〜 17:30 第7会場 (ルーム204)

座長:赤木 禎治(岡山大学病院 成人先天性心疾患センター)
座長:永田 弾(九州大学 小児科)

[II-OR25-03] Fontan関連腎障害はFontan associated liver disease の影響をうける

村岡 衛1,3, 永田 弾1, 山村 健一郎1, 鵜池 清1, 平田 悠一郎1, 西山 慶1, 石北 綾子2, 西崎 晶子2, 坂本 一郎2, 筒井 裕之2, 大賀 正一1 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 循環器内科, 3.福岡市立こども病院 循環器科)

キーワード:Fontan, FALD, 腎障害

【背景】Fontan術後患者ではFontan associated liver disease(FALD)を代表とする心外合併症を発症することが知られている。肝臓と腎臓は密接な関係があるが、Fontan関連腎障害とFALDに関する報告はほとんどない。【目的】Fontan術後患者の遠隔期の腎機能障害の頻度とリスク因子を同定し、FALDとの関連を明らかにすること。【方法】2009年~2018年に九州大学病院に紹介となった18歳以上のFontan術後患者181名(中央値21歳, 術後16年, APC 19名, lateral tunnel 55名, extra cardiac conduit 107名)における、初診時のeGFRと蛋白尿の有無、FALD(Forns index>4.21)の有無について、各パラメータ(Fontan時月齢、CVP、術後年数など)との関連を検討した。【結果】32名(17.7%)で腎機能低下(eGFR<90ml/min/1.73 m2)、42名(25.6%)で蛋白尿がみられた。9名(5%)のみが腎機能低下と蛋白尿を併発していた。137名(75.7%)でFALDがみられた。腎機能低下のリスク因子は、単変量解析で長い術後年数(18 vs 16年, p=0.0043)、多変量解析でBNP高値[unit odds ratio(uOR) 1.02, 95% CI: 1.01-1.04, p=0.0050]と心拍出係数低値[uOR 0.23, 95% CI: 0.074-0.70, p=0.0098]であった。蛋白尿のリスク因子は、単変量解析で遅いFontan手術時期(81 vs 54, p-0.0008), CVP高値(12 vs 9 mmHg, p=0.0004)、ヒアルロン酸高値(44 vs 28 ng/mL, p=0.0008)、多変量解析で心拍出係数高値[オッズ比 1.95, 95% CI: 1.03-3.70, p=0.027]であった。FALDのリスク因子は長い術後年数[uOR 2.10, 95% CI: 1.09-4.06, p=0.029]であった。また、腎機能低下、蛋白尿とFLADの間では蛋白尿とFALDに関連がみられた(p=0.044)。【結語】Fontan関連腎障害はFontan循環の高いCVPや低心拍出による腎血流低下や腎うっ血の影響が知られてきたが、本研究で既存の結果に加え、FLADやFontan手術までの組織の低酸素期間が影響する可能性が示唆された。