[II-OR25-03] Fontan関連腎障害はFontan associated liver disease の影響をうける
キーワード:Fontan, FALD, 腎障害
【背景】Fontan術後患者ではFontan associated liver disease(FALD)を代表とする心外合併症を発症することが知られている。肝臓と腎臓は密接な関係があるが、Fontan関連腎障害とFALDに関する報告はほとんどない。【目的】Fontan術後患者の遠隔期の腎機能障害の頻度とリスク因子を同定し、FALDとの関連を明らかにすること。【方法】2009年~2018年に九州大学病院に紹介となった18歳以上のFontan術後患者181名(中央値21歳, 術後16年, APC 19名, lateral tunnel 55名, extra cardiac conduit 107名)における、初診時のeGFRと蛋白尿の有無、FALD(Forns index>4.21)の有無について、各パラメータ(Fontan時月齢、CVP、術後年数など)との関連を検討した。【結果】32名(17.7%)で腎機能低下(eGFR<90ml/min/1.73 m2)、42名(25.6%)で蛋白尿がみられた。9名(5%)のみが腎機能低下と蛋白尿を併発していた。137名(75.7%)でFALDがみられた。腎機能低下のリスク因子は、単変量解析で長い術後年数(18 vs 16年, p=0.0043)、多変量解析でBNP高値[unit odds ratio(uOR) 1.02, 95% CI: 1.01-1.04, p=0.0050]と心拍出係数低値[uOR 0.23, 95% CI: 0.074-0.70, p=0.0098]であった。蛋白尿のリスク因子は、単変量解析で遅いFontan手術時期(81 vs 54, p-0.0008), CVP高値(12 vs 9 mmHg, p=0.0004)、ヒアルロン酸高値(44 vs 28 ng/mL, p=0.0008)、多変量解析で心拍出係数高値[オッズ比 1.95, 95% CI: 1.03-3.70, p=0.027]であった。FALDのリスク因子は長い術後年数[uOR 2.10, 95% CI: 1.09-4.06, p=0.029]であった。また、腎機能低下、蛋白尿とFLADの間では蛋白尿とFALDに関連がみられた(p=0.044)。【結語】Fontan関連腎障害はFontan循環の高いCVPや低心拍出による腎血流低下や腎うっ血の影響が知られてきたが、本研究で既存の結果に加え、FLADやFontan手術までの組織の低酸素期間が影響する可能性が示唆された。