第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

成人先天性心疾患

一般口演25(II-OR25)
成人先天性心疾患 II

2022年7月22日(金) 16:40 〜 17:30 第7会場 (ルーム204)

座長:赤木 禎治(岡山大学病院 成人先天性心疾患センター)
座長:永田 弾(九州大学 小児科)

[II-OR25-04] フォンタン術後患者の血中AFPの経時的変化と肝細胞癌発症

宮永 光次, 大内 秀雄, 森 有希, 藤本 一途, 岩朝 徹, 坂口 平馬, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター)

キーワード:フォンタン術後, AFP, HCC

背景:フォンタン術後(F)患者の肝臓障害はフォンタン関連肝臓病(FALD)とされ、特に肝細胞癌(HCC)は遠隔期の予後を規定する。一方、血中アルファフェトプロテイン(AFP)はHCCのスクリーニング法として確立した腫瘍マーカだが、AFPのF患者でのHCCの診断精度、経時的な変化などを含め臨床的意義は不明である。目的: F患者でのAFPの推移を明らかとしHCC発症との関係を検討すること。方法と結果:2005年8月から2018年12月まで当院の外来あるいは入院中にAFPが測定されたF患者でその測定間隔が2年以上の連続227例を対象とした。年齢は19 ± 9歳、男57%、NYHAクラス1.2 ± 0.5、臓器錯位症候群28%、F時年齢は4 ± 5歳で術後経過観察期間は15 ± 6年であった。連続測定でAFPの正常上限値(10.0 ng/mL)を基に、正常値で推移(LL群)、正常値から異常値に上昇した群(LH群)そして初回検査時から異常高値であった群(HH群)の3群に分類しそれら群の初回AFP測定時の臨床的特徴を検討した。全体では測定間隔が4.8 ± 1.2年でlog AFPは1.1 ± 0.6から1.4 ± 0.8に上昇していた(p <0.0001)。LL群、LH群とHH群は各々208例(91.6%)、14例(6.2%)と例5例(2.2%)で、年齢とF経過年数に差はなかった(全て:p > 0.05)。また、LL群、LH群とHH群の検査間隔に差がなかったが、logAFPの年間推移(ng/mL/y)は各々0.24 ± 0.41、0.29 ± 0.35と0.05 ± 0.06でLH群とHH群はLL群に比べ高く(p < 0.0001)、HH群で1例(20%)、LH群で4例(29%)にHCCが発症していた。LH群は他の2群に比べ血小板数に加え肝線維化指標であるAPRI、Fibー4とForn指数が有意に高かった(p < 0.05 ー 0.001)。結論:F患者では経時的にAFPは上昇し術後15年で2%、術後20年で6%が基準値を超えた。AFP基準値以上のF患者の肝線維化指標は高<26%(全体の2.2%)はHCCを発症した。