[II-P4-1-03] 治療介入を要した先天性門脈体循環シャントの6例についての検討
Keywords:先天性門脈体循環シャント, 高ガラクトース血症, 経皮的血管塞栓術
【背景】先天性門脈体循環シャント(CPSS)は門脈と体循環にシャント血管を有する比較的まれな先天性疾患であり,卵黄嚢静脈や臍静脈など静脈系の発生異常が原因とされている。門脈血が直接体循環に流入することで高ガラクトース血症、高アンモニア血症に始まり、肝性脳症や発達障害などの神経合併症、肝肺症候群、門脈肺高血圧症、限局性結節性過形成をはじめとする肝腫瘤性病変などを合併しうるため、適切な時期に治療介入を考えないといけない疾患である。治療方法については外科的手術や血管閉塞デバイスを用いた経皮的血管塞栓術など確立されてきたが、治療介入時期についての検討は少ない。【目的】適切な治療方法、治療時期について検討する。【対象・方法】2010年1月から2022年6月までの間で治療介入を要した6例で術前・術後の経過について後方視的に検討した。【結果】診断時期は生後1か月~7歳で6例中4例がマススクリーニングで高ガラクトース血症を契機に診断、1例は胎児期に胎児エコーで指摘されていた。治療時期は1歳5か月~8歳で診断時期が遅かった1例以外は3歳までに治療を行った。治療は血管塞栓デバイスを用いた一期的治療が6例中2例、外科的絞扼術後、経皮的血管塞栓術を行った二期的治療が4例であった。CPSSによる合併症は1例で白内障が認められた。関連は不明であるが6例中3例に発達遅滞が認められた。【考察・結語】治療時期が遅くなるとシャント血管が太くなるため、血管塞栓デバイスも大きくなり留置に難渋することが多かった。1歳6か月に治療介入を行った児にCPSSと関連性が強く疑われる白内障が認められた。合併症を考えると、より早期での介入が必要であったと考えられた。