[II-P4-1-06] Chiari networkによる右室流入障害を呈した1例
キーワード:Chiari network, 静脈洞弁遺残, 低酸素血症
【背景】Chiari network(CN)は胎生期の静脈洞弁が網状構造を呈し遺残したもので,健常人にも数%に認められるが,通常血行動態への影響を来さず病的意義はないとされる.
【症例】1歳女児,在胎33週に右房内の異常構造物を指摘されて母体紹介され,胎児エコーで三尖弁上に10 mm程度の線状高輝度病変を認めた.右室が左室に比べて小さく,房室弁も三尖弁の方が小さかったが三尖弁の開放,性状に問題は認めず,静脈洞弁遺残による影響と考えられた.在胎39週2日,自然分娩で出生後SpO2は自然に90%台まで上昇し,右房内に線状のCNを認めたが右室の流入制限はないものと思われた.日齢1にSpO280%台でチアノーゼを認めたため心エコーを再検したところ,薄い膜状のCNが三尖弁開放時に袋状に広がって右室内に突出し,収縮期に右房内に戻る様子が認められた.CNにより三尖弁狭窄様の病態となり,心房間の右左シャントを生じ,SpO2が低下したと考えられた.右室,肺動脈などは全体的に小さめではあったが肺血流を増加させることで成長が期待できると判断し,酸素投与を開始,在宅酸素を導入し日齢8に退院した.1歳時の心臓MRI評価では肺体血流比は1.1-1.2, 右室拡張末期容積は90%Nであったが,室内気ではSpO2が90%台前半まで低下するため,在宅酸素を継続している.
【考察】膜状のCNが三尖弁血流を阻害しチアノーゼを呈した報告は散見され,稀に外科的治療を要するが新生児期に一過性のチアノーゼを示し自然軽快する例が多い.本症例はチアノーゼが軽症だが1年以上持続するという点で既報とは異なる.膜状構造が網状に変化する過程や,変化が停止することでCNは幅広いスペクトラムを呈すると考えられる.
【結語】CNは稀に三尖弁狭窄様の病態を呈しチアノーゼの原因となることがあり,その性状と血行動態への影響,時間経過による変化への詳細な観察が重要だと考えられる.
【症例】1歳女児,在胎33週に右房内の異常構造物を指摘されて母体紹介され,胎児エコーで三尖弁上に10 mm程度の線状高輝度病変を認めた.右室が左室に比べて小さく,房室弁も三尖弁の方が小さかったが三尖弁の開放,性状に問題は認めず,静脈洞弁遺残による影響と考えられた.在胎39週2日,自然分娩で出生後SpO2は自然に90%台まで上昇し,右房内に線状のCNを認めたが右室の流入制限はないものと思われた.日齢1にSpO280%台でチアノーゼを認めたため心エコーを再検したところ,薄い膜状のCNが三尖弁開放時に袋状に広がって右室内に突出し,収縮期に右房内に戻る様子が認められた.CNにより三尖弁狭窄様の病態となり,心房間の右左シャントを生じ,SpO2が低下したと考えられた.右室,肺動脈などは全体的に小さめではあったが肺血流を増加させることで成長が期待できると判断し,酸素投与を開始,在宅酸素を導入し日齢8に退院した.1歳時の心臓MRI評価では肺体血流比は1.1-1.2, 右室拡張末期容積は90%Nであったが,室内気ではSpO2が90%台前半まで低下するため,在宅酸素を継続している.
【考察】膜状のCNが三尖弁血流を阻害しチアノーゼを呈した報告は散見され,稀に外科的治療を要するが新生児期に一過性のチアノーゼを示し自然軽快する例が多い.本症例はチアノーゼが軽症だが1年以上持続するという点で既報とは異なる.膜状構造が網状に変化する過程や,変化が停止することでCNは幅広いスペクトラムを呈すると考えられる.
【結語】CNは稀に三尖弁狭窄様の病態を呈しチアノーゼの原因となることがあり,その性状と血行動態への影響,時間経過による変化への詳細な観察が重要だと考えられる.