第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(II-P4-1)
一般心臓病学 II

2022年7月22日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場

座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)
座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)

[II-P4-1-07] プロスタグランジン製剤使用による粘液過剰産生と胃流出路狭窄の3例

塚田 正範, 水流 宏文, 馬場 恵史, 小澤 淳一, 阿部 忠朗, 沼野 藤人, 齋藤 昭彦 (新潟大学医歯学総合病院 小児科)

キーワード:プロスタグランジン製剤, 動脈管, 副作用

【背景】プロスタグランジンE1製剤(PG)は、動脈管依存血行動態の新生児に対し、初回介入まで動脈管開存維持のために使用される。PG使用により、胃内で粘液過剰産生を認め、胃流出路狭窄をきたした3例を報告する。【症例1】22q11.2欠失症候群、大動脈離断、心室中隔欠損、39週4日3060gで出生。日齢4、ductal shockで搬送され、PGE1-CDを300ng/kg/minまで使用。日齢12両側肺動脈絞扼術施行。日齢13、胃管よりムチンが引けた。その時点で、投与期間9日間、積算量3600μg/kg。その後、PGE1-CDを減量後もムチン産生が持続し、動脈管ステント留置術を施行した。PGE1-CD使用中止で改善。【症例2】僧帽弁狭窄、左室低形成、両大血管右室起始、大動脈縮窄。双胎第2子、38週1日、2222gで出生。日齢4両側肺動脈絞扼術施行、その後動脈管狭小化に対し、PGE1-CD 200ng/kg/minまで増量。日齢10、ムチンが引けた。投与期間9.3日、積算量582μg/kg。PGE1-CD減量で動脈管狭小化あり、日齢18動脈管ステント留置術施行。PGE1-CD使用中止で改善。【症例3】左室内腫瘍。胎児水腫のため緊急帝王切開で出生。32週0日、2644g。巨大な腫瘍のため左室拍出量が乏しく、動脈管依存状態であり、PGを使用。日齢45、両側肺動脈絞扼術施行。術後、動脈管狭小化のためPGE1-CD 100ng/kg/minまで増量。日齢53よりムチンが引けた。投与期間53日、積算量1577μg/kg。PGE1-CD 25ng/kg/minまで減量したが動脈管は維持され、ムチンは減少し経管栄養が可能となった。【考察】PG投与は、粘膜層の肥厚による胃前庭部過形成が生じ、胃流出路狭窄となる副作用が生じうる。また、合成PGE1製剤の投与で、胃内の粘液分泌と粘液濃度は容量依存に増加する。これらの事から、動脈管依存血行動態でPGを投与する場合、特に低出生体重児、早産児を対象とし高容量投与を行う場合は胃粘液過剰産生が生じる可能性があり、慎重な経過観察が必要である。