The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(II-P4-1)
一般心臓病学 II

Fri. Jul 22, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場

座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)
座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)

[II-P4-1-10] 総頚動脈欠損を合併した右側大動脈弓の1例

井上 奈緒1, 杉山 央1, 中嶌 八隅1, 金子 幸栄1, 中島 秀幸2 (1.聖隷浜松病院 小児循環器科, 2.聖隷浜松病院 新生児科)

Keywords:大動脈弓形成異常, 総頸動脈欠損, 右側大動脈弓

【背景】大動脈弓の形態は、在胎4~5週に左右咽頭弓動脈のリモデリングによって形成され、その退縮、存続パターンの異常により大動脈弓異常が発生する。今回我々は右側大動脈弓(RAA)に総頚動脈(CCA)欠損を認めた非常にまれな症例を経験したので報告する。【症例】日齢6 女児【現病歴】在胎26週、左右心室のアンバランスを主訴に当科紹介。胎児エコーでは左右心室のアンバランスと、小さな心室中隔欠損症(VSD)、RAAを認めていた。在胎39週2日、体重2336gで出生。心エコーにてsmall VSD, RAAと確定、レントゲンで胸腺を認めず、conotruncal anomaly faceを呈しており22q11.2欠失症候群が疑われ、遺伝子検査にて確定した。大動脈弓およびその分枝形態異常を精査するため、日齢6に造影CTを施行した。大動脈弓は気管の右側を走行し、大動脈弓小弯側に動脈管の遺残を認めた。第1分枝は右総頚動脈(RCCA)、第2分枝は右鎖骨下動脈(RSCA)、第3分枝が左鎖骨下動脈(LSCA)で食道の背側を走行し、左総頚動脈(LCCA)は欠損していた。左内頚動脈(LICA)と左外頚動脈(LECA)は本来CCAが存在する部位の頭側に存在しており、2本の血管は近位側で連続性を保っていた。頭部および頚動脈エコーでLICAにはウィリス動脈輪を介して逆行性に流れており、LECAの血流はLICAから流れていた。【考察】本症例の大動脈およびその分枝形態の診断は左背側大動脈第8文節、左第4咽頭弓動脈が退縮した、RAA+aberrant LSCAである。CCAは第3、第4咽頭弓動脈間の腹側大動脈と第3咽頭弓動脈の近位部から形成されるが、本症例では同部位が退縮したことによる形態異常と考えられた。CCA欠損は代償する拡張血管に動脈瘤が形成されやすく、脳血流は片側総頚動脈に依存しているため、加齢に伴い後天的な問題が生じやすいと予想され、慎重な経過観察が望ましいと思われる。大動脈形態異常を診断した際は、分枝走行異常の有無も確認し、脳神経外科医との連携も必要である。