[II-P4-3-01] 先天性心疾患に血液腫瘍を合併した21トリソミー児に対する治療戦略
キーワード:21トリソミー, 人工心肺, 白血病
【背景】21トリソミー児では、一過性骨髄異常増殖症(TAM)や急性巨核芽球性白血病(AMKL)などの血液腫瘍の合併が多いことが知られているが、先天性心疾患を合併した症例では、輸液負荷による心不全増悪や人工心肺を使用した心臓手術での高粘稠症候群や腫瘍崩壊症候群への注意も必要である。しかしながら、このような症例での化学療法と心臓手術の至適時期に明確な基準はない。【目的】血液腫瘍と先天性心疾患を合併した21トリソミー児を3例提示し、心臓手術の至適介入時期について検討する。【症例1】在胎37週3日、出生体重2509g、両大血管右室起始症、重症TAMを合併。生直後よりTAMに対し輸液負荷と少量Ara-C療法を行うも肝不全の状態であった。化学療法に伴う輸液負荷で心不全は増悪したため日齢18に肺動脈絞扼術(PAB)を施行したが、肝不全のため日齢23で死亡。【症例2】在胎39週5日、出生体重3914g、心室中隔欠損症、動脈管開存(PDA)、を合併。6か月時にPAB+PDA clipping施行。1歳2か月、血小板減少(5.6万/μL)を認めたが、心内修復術は予定通り施行し周術期管理に問題はなかった。術後7か月にAMKLの診断、化学療法を施行し寛解を維持。【症例3】在胎40週1日、出生体重3556g、大動脈縮窄複合、TAMを合併。TAMは自然軽快。6か月時に一期的根治術予定であったが芽球(9.1%)と血小板減少(3.5万/μL)を認めPAB+大動脈修復術とした。術後AMKLと診断し、化学療法と心内修復術の治療時期の決定に難渋したが、1か月後に心内修復術を施行。その後にAMKLに対して化学療法を行い、寛解を維持。【考察】症例1は重症TAMに対し化学療法を優先させたが、症例2、3のように人工心肺手術における合併症に留意しながら心内修復術を優先させ周術期合併症は認めなかったため、化学療法に急を要さなければ心臓手術を優先させた方が管理しやすい可能性がある。