[II-P4-3-02] 低出生体重,Turner症候群に伴う重症大動脈弁狭窄に対する初期治療方針
キーワード:critical AS, Turner症候群, BAV
【背景】2000g未満の低出生体重児に伴う危急的心疾患,特に重症大動脈弁狭窄(critical AS; CAS)の救命は未だに困難である.今回,Turner症候群に合併したCASの初期治療戦略について報告する.【症例】羊水検査で45,XO(Turner症候群)の診断,重度のASを合併していたことから34週で母体紹介となった. 胎児心エコーでは, 大動脈弁は肥厚し血流加速(Vp=4.4m/s), 大動脈弓まで動脈管血流が逆行,左室壁は肥厚していたが収縮は保たれ,卵円孔は左右短絡であった. 左室後負荷不適合が見られた時点で娩出の方針で経過観察を継続,在胎37週0日に前期破水があり帝王切開にて, 41.5cm(-2.4SD), 1741g(-2.9SD)で出生となった. 出生後の心エコーでは大動脈弁輪径5.7mm(RL癒合の横割れ二尖), 弁輪通過最高速度(Vp) 5.0m/s, 左室駆出率 52%と低下し, 心尖部に限局した心内膜線維弾性症を認めた. 後負荷不適合解除に加えて,二心室治療可否の判断も念頭に日齢0に緊急カテーテル治療を施行した. 右総頚動脈穿刺し3Frシース留置,2.9Frレオニスムーバ・2.5Fr ストレートwireでアプローチ,NC Emerge(12atm, 5.07mm, 弁輪径の89%) を用いバルーン拡張を施行した. その後動脈管は閉鎖し,一時的に中程度AR出現するも生後1か月で消失,左室駆出率は72%と改善したが,その後Vp3.0m/s前半のまま徐々に左室拡張末期径が大きくなり,心拍数ベースが150/分から180/分に増悪,日齢 48,体重2.5kgの時点で,左室駆出率53%に低下,拡張末期径145% of normalとなり,低心拍出量症候群に陥った.翌日,大動脈弁形成術(自己心膜による弁尖置換)に至り,再び改善が得られている.【考察】初回介入時に低体重であったことから侵襲が低いカテーテル治療を選択し,児の成熟後に開心術を行う段階的方針をとった.CASに対しては, 児の状態により低侵襲治療と確実性の高い治療の両者を組み合わせることが有用と思われた.