[II-P4-3-04] 外科的介入を要したmodified Blalock-Taussig shunt 早期閉塞/狭窄例の臨床像
キーワード:Blalock-Taussig shunt, 肺血流調整, 循環器集中治療
背景:新生児期・乳児期早期のmodified-Blalock-Taussig shunt(mBTS)術後の血行動態は高度の集中治療にも関わらず不安定な場合がある.mBTS閉塞/狭窄は致死的な低酸素血症をきたし,その兆候を早期に認識することが重要である.方法:2020年4月から2021年12月に当院小児集中治療室(PICU)で術後管理を行い,術後早期のmBTSの閉塞/狭窄に対して外科的介入を要した4症例について後方視的に検討した.結果:基礎疾患は両大血管右室起始症2例、修正大血管転位症1例、左室性単心室症1例,手術時日齢4-70(中央値37),手術時体重2.4-4.6kg(中央値3.8kg),シャントサイズは3mm 1例,3.5mm 3例, 3例は動脈管閉鎖術を同時に行った.シャント閉塞/狭窄はSpO2の低下とシャント音の減弱で疑い,超音波検査では3例でmBTSの肺動脈流入部の描出不良と下行大動脈の拡張期の逆行性血流の減少を認めた.帰室から外科的介入までの経過時間は1.5-9時間(中央値3時間),3例はmBTSのサイズアップを行い,うち1例は後日肺血流増加に対する調整を要した.2例はPICU内でSpO2の急激な低下から20分以内に緊急開胸し,動脈管再開通ののちに再手術を行った.1例は開胸洗浄ドレナージと一酸化窒素(NO)により肺血流の維持が可能であった.徐脈のため1例で胸骨圧迫を行ったが,いずれの症例も神経学的後遺症なく生存退院した.考察:術後12時間以内のSpO2の低下,超音波検査でmBTSの肺動脈流入部の描出不良,下行大動脈の拡張期血流の減少はmBTS閉塞/狭窄を示唆する.mBTSが完全閉塞となる前に覚知し,再開胸および外科的再介入を判断することが安定した術後血行動態に重要と考えられた.