[II-P4-3-11] 高肺血流型肺高血圧症の術後管理にニトログリセリン静注薬を用いた2症例
キーワード:肺高血圧, PH crisis, ニトログリセリン
【背景】先天性心疾患に肺高血圧(PH)を合併している症例の術後管理では、PH crisisの予防が重要である。今回、術前に高度PHを合併した症例に術後PH crisis 予防にニトログリセリンNTGを使用し、良好に経過した2症例を経験したので報告する。
【症例1】6ヶ月 男児 体重8.1kg生後より他院でVSDを指摘されフォローされていた。6ヶ月の心臓カテーテル検査でPHと診断され、治療目的に当院に紹介された。術前QP/QS 2.4、推定RVP/LVP 0.7、Rp 7.0 Wood U/m2であった。
【症例2】11ヶ月 女児 体重6.9kg生後10ヶ月時に未治療のPDA, ASD, VSDを他院で指摘され、精査・治療目的に当院に紹介された。術前QP/QS 2.3、RVP/LVP 0.8、Rp 5.7 Wood U/m2であった。
【経過】2症例ともに高度のPHを合併していたが、酸素投与によるRpの低下を認め、一期的修復術が可能と判断した。術後はフェンタニル+ロクロニウムで深鎮静下に人工呼吸管理とし、NTGを最大8 μg/kg/minで持続投与した。NTG増量に伴いmPAPおよびRpは低下し、2症例ともPH crisisを起こすことなく経過し術後2日目に抜管した。
【考察】PHの治療にはNitric oxide(NO)吸入、sildenafilやbosentan内服などの有効性が報告されているが、周術期の管理においては静注薬の使用が容易である。我々は以前、PHを合併した小児心臓外科術後症例にNTG持続静注を行い、NTGの薬物動態/薬力学を解析し、PHに対する治療効果を検討した。その結果、小児へのNTG投与は、6-8 μg/kg/minの範囲内では有害事象なく、肺血管抵抗を低下させたことを報告している。今回の2症例は高度PHを合併していたが、一期的修復術を行い術後PH crisisを起こすことなく経過した。術前の酸素投与でRpの低下を認め肺血管の反応性が良好であったこと、NTG投与により肺血管抵抗が低下したことにより、PH crisisを予防できたと考えられる。
【結語】NTGは術後PH crisisの予防に有効であると考えられる。
【症例1】6ヶ月 男児 体重8.1kg生後より他院でVSDを指摘されフォローされていた。6ヶ月の心臓カテーテル検査でPHと診断され、治療目的に当院に紹介された。術前QP/QS 2.4、推定RVP/LVP 0.7、Rp 7.0 Wood U/m2であった。
【症例2】11ヶ月 女児 体重6.9kg生後10ヶ月時に未治療のPDA, ASD, VSDを他院で指摘され、精査・治療目的に当院に紹介された。術前QP/QS 2.3、RVP/LVP 0.8、Rp 5.7 Wood U/m2であった。
【経過】2症例ともに高度のPHを合併していたが、酸素投与によるRpの低下を認め、一期的修復術が可能と判断した。術後はフェンタニル+ロクロニウムで深鎮静下に人工呼吸管理とし、NTGを最大8 μg/kg/minで持続投与した。NTG増量に伴いmPAPおよびRpは低下し、2症例ともPH crisisを起こすことなく経過し術後2日目に抜管した。
【考察】PHの治療にはNitric oxide(NO)吸入、sildenafilやbosentan内服などの有効性が報告されているが、周術期の管理においては静注薬の使用が容易である。我々は以前、PHを合併した小児心臓外科術後症例にNTG持続静注を行い、NTGの薬物動態/薬力学を解析し、PHに対する治療効果を検討した。その結果、小児へのNTG投与は、6-8 μg/kg/minの範囲内では有害事象なく、肺血管抵抗を低下させたことを報告している。今回の2症例は高度PHを合併していたが、一期的修復術を行い術後PH crisisを起こすことなく経過した。術前の酸素投与でRpの低下を認め肺血管の反応性が良好であったこと、NTG投与により肺血管抵抗が低下したことにより、PH crisisを予防できたと考えられる。
【結語】NTGは術後PH crisisの予防に有効であると考えられる。