[II-P4-4-04] フィブリノーゲンは川崎病の病勢を反映する
キーワード:川崎病, フィブリノーゲン, IVIG不応
【背景】フィブリノーゲンは凝固因子の1つであるが、炎症により増加することが知られている。また、ANCA関連血管炎や関節リウマチなどの自己免疫性疾患の病勢を反映することも報告されている。川崎病においてフィブリノーゲンが高値になるという報告は散見されるが、IVIG不応との関連についての報告はない。【方法】当院で2019年4月から2021年3月までの2年間に川崎病に対してIVIGによる治療を行い、IVIG治療前に血漿中のフィブリノーゲンを測定した症例を対象とした。初回のIVIG反応例と初期治療後に追加治療を必要としたIVIG不応例の血漿フィブリノーゲン値について診療録を元に後方視的に検討を行った。【結果】2年間に80例の川崎病の患児にIVIGによる治療を行った。そのうち79例でフィブリノーゲンが測定された。IVIG不応例は19例、IVIG反応例は60例であった。IVIG不応例で追加のIVIGに加えインフリキシマブを使用した症例が4例、さらに他院で血漿交換まで行われた症例が1例あった。冠動脈の一過性の拡大があった症例は7例であり、発症1か月時に冠動脈病変が残った症例はいなかった。血漿フィブリノーゲン値はIVIG反応例 vs IVIG不応例:582±115 mg/dl vs 642±106 mg/dl (p=0.048)であった。フィブリノーゲンによるIVIG不応予測の精度を見るためにROC解析を行ったところ、AUC 0.649でありカットオフ 623 mg/dlとすると、感度は68%で特異度は63 %であった。IVIG不応予測の小林スコアに含まれる検査値の中では好中球の割合(r=0.45)やCRP(r=0.45)と軽度の相関を認めていた。【結論】フィブリノーゲンは川崎病において病勢を示すバイオマーカーの1つになりうる。