第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

川崎病・冠動脈・血管

ポスター発表(II-P4-4)
川崎病・冠動脈・血管 I

2022年7月22日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場

座長:片山 博視(高槻赤十字病院 小児科)
座長:関 満(自治医科大学 小児科)

[II-P4-4-05] 冠動脈瘤を伴う川崎病患者のレジストリ研究;KIDCAR

小山 裕太郎1, 三浦 大1, 小林 徹2, 鉾碕 竜範3, 菅沼 栄介4, 沼野 藤人5, 古野 憲司6, 塩野 淳子7, 布施 茂登8, 深澤 隆治9, 三谷 義英10 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.国立成育医療研究センター 臨床研究センター, 3.横浜市立大学附属病院 小児循環器科, 4.埼玉県立小児医療センター 感染免疫・アレルギー科, 5.新潟大学医歯学総合病院 小児科, 6.福岡市立病院機構 福岡市立こども病院 総合診療科, 7.茨城県立こども病院 小児循環器科, 8.NTT東日本札幌病院 臨床検査科, 9.日本医科大学付属病院 小児科, 10.三重大学医学部附属病院 小児科)

キーワード:川崎病性冠動脈瘤, 冠動脈イベント, ワルファリン

【背景】冠動脈瘤を合併した川崎病患者の冠動脈イベント発生については,巨大瘤以外の関連因子は明らかでなく,適切な管理法も確立していない.これらを解明するためには,多数の冠動脈瘤症例を前方視的に調査する必要がある.【方法】本研究は,2015年以降に発症した川崎病患者のうち中等瘤あるいは巨大瘤を合併した症例を対象とした多施設共同レジストリ研究である.対象患者について冠動脈イベント(血栓,狭窄,閉塞)発生の推移を追跡し,関連因子について調査した。【結果】53施設より179症例が登録され,29-1871日(中央値501日),フォローアップした.発症時年齢は中央値2.2歳、男性が137例(77%),不全型が47例(26%),巨大瘤が36例(20%)であった.冠動脈イベントは15例(8%,95%信頼区間4-12%)で発生し,うち10例(67%)が発症1年以内,全例が発症2年以内に生じていた.このうち13例で抗血小板薬とワルファリンの併用療法が行われていた.巨大瘤は中等瘤に比較し有意に瘤の数が多く(2.8 vs. 1.7,p<0.001),ワルファリン使用例が多く(86% vs. 43%,p<0.001),冠動脈イベントを生じやすい(31% vs. 3%,p<0.001)結果となった.Cox比例ハザード解析では,巨大瘤(ハザード比13.7,95%信頼区間4.4-43.3),ワルファリン使用(同11.9,1.6-90.7),3個以上の冠動脈瘤(同11.6,2.5-53.0),数珠状瘤(7.8,2.5-24.7)が有意な関連因子であった.【考察】巨大瘤合併例は発症2年以内に冠動脈イベントを起こしやすく,ワルファリンを含む抗血栓療法に限界があることが示唆された.また,多発瘤や数珠状瘤の症例についても注意が必要である.