[II-P4-4-07] 川崎病血管炎モデルマウスにおいてスタチンは顕著な抗粥状動脈硬化・抗炎症作用を示した
キーワード:川崎病, 粥状動脈硬化症, スタチン
【背景】川崎病(KD)患者の加齢に伴い若年成人の粥状動脈硬化症が促進される可能性がある。【目的】KD血管炎が成人期の粥状動脈硬化症を促進するか、またStatinの有効性を検討する。【方法】5週齢ApoE-/-マウスにCandida albicans water soluble fraction(CAWS)を腹腔内注射し、KD血管炎モデルを作成した。PBS群、CAWS群、Statin群(CAWS流量後2w後からアトルバスタチン内服)、Late-Statin群(CAWS終了後6w後からアトルバスタチン内服)に分けCAWS注射後6w/10wに検体採取した。大動脈基部(SQr)・腹部大動脈(SQa)における炎症細胞浸潤面積比、および全大動脈表面のプラーク面積比(SQp)を定量化した。また血清LDL-cholesterolをELISA法にて測定した。【結果】CAWS群におけるSQr、SQa、SQpはいずれもStatin群に比し有意に高値であり (P<0.01)、CAWSにより促進された炎症細胞浸潤、および大動脈におけるプラーク形成はスタチンにより有意に抑制されていた。さらに、Late-Statine群ではCAWS群より有意に10WでのSQpが抑制されており(p<0.01)、スタチンを開始した6WでのCAWS群のSQpレベルとほぼ同等であった。血清LDL-cholesterol値は各郡で有意差は認めなかった。【考察】CAWS血管炎は、粥状動脈硬化症の発症促進に関与していることが明らかとなった。Statinは抗炎症・抗粥状動脈硬化作用を有し、それはpleiotropic effectsによるもとの推察された。【結論】KD既往者の心血管イベント発症予防にスタチンが有効である可能性が示唆された。