[II-P4-4-09] 川崎病冠動脈後遺症におけるMRIを用いた心筋評価
キーワード:川崎病冠動脈後遺症, 心筋評価, MRI
【背景】負荷心筋Perfusion MRI(pMRI)は心筋の虚血評価に有用であり、当院では2007年より川崎病冠動脈病変(CAL)を有する患者に対してATP負荷pMRIを開始し、遅延造影(LGE)を含めた心筋評価を行なってきた。近年、T1 mappingを用いた心筋性状評価の有用性が示され、2019年からCAL症例に対しT1 mappingを開始した。【目的】遠隔期CAL症例におけるpMRIとT1 mappingによる心筋評価の有用性を検証すること。【方法】pMRIは2007-2021年に施行した21例 、T1 mappingは2019-2021年に施行した6例を対象とした。それぞれのCALの内訳と転帰、所見を後方視的に検討した。撮像機器はPhillips社製1.5T装置を使用した。【結果】初回pMRI 施行時、平均12.2歳、撮像時間は67分。計60回のpMRIを施行した。検査による有害事象はなく、心血管イベントでの死亡例はなかった。急性期は巨大瘤5例、中等瘤15例、拡大1例だった。 遠隔期に5例は退縮し、7例は瘤が残存、うち1例で遠隔期に心筋炎が疑われる経過後、LGE陽性となった。9例に狭窄病変を認め、2例で冠動脈バイパス手術(1例; 右冠動脈、1例; 左冠動脈)を施行した。1例は右冠動脈が閉塞後再疎通し、支配領域はPerfusion陽性かつLGE陽性の所見を認めた。それ以外の症例で所見は認めなかった。3例は冠予備能検査を施行し有意狭窄を認めなかった。T1 mappingは平均19.7歳、撮像時間は0.5分。全例で冠動脈MRアンギオグラフィー(MRCA)施行時に撮像した。急性期CALは巨大瘤1例、中等瘤4例、拡大1例だった。 遠隔期に1例が退縮、2例は瘤が残存、狭窄病変は3例だった。うち5例は心筋native T1値は平均980msで正常範囲だった(正常値971±35ms)。右冠動脈にCABGを行った症例は、native T1値が平均1045msとびまん性に高値を示し細胞外容積分画は平均35.1%だった。【結論】pMRIはCAL症例の心筋の虚血評価にも有用である。T1 mappingはMRCAと同時に短時間で施行可能でありCAL症例の蓄積が重要である。