[II-P4-5-01] 川崎病による総腸骨動脈瘤の遠隔期所見
キーワード:川崎病, 総腸骨動脈瘤, 内腸骨動脈瘤
【背景】1980年代に、乳児期に巨大冠動脈瘤をきたした重症川崎病 (KD) に罹患した患者において、約10%に冠動脈病変以外の中小血管に動脈瘤を形成していたことは知られているが、それらの予後に関する報告は少ない。【目的】KDにより総腸骨動脈瘤 (CIAA) の遠隔期の変化を明らかにする。【対象と方法】CIAAを合併した10例(男:女=7:3)である。KD発症後早期と遠隔期の血管造影、診療録から転帰、遠隔期所見について後方視的に検討した。【結果】KD発症は1-22ヶ月(中央値6ヶ月)で、CIAAは全例両側にみられ、両側冠動脈瘤があった。6例に内腸骨動脈瘤 (IIA)を、3例に大動脈瘤を、1例に大腿動脈瘤を合併していた。上肢では、5例に上腕動脈を、1例に鎖骨下動脈瘤を合併していた。6例は冠動脈バイパス術を受けていた。10例における罹患後6-24年(中央値18年)の遠隔期造影では、CIAAは、退縮3例、狭窄性病変1例、拡大性病変5例であった。3歳時に大動脈+総腸骨動脈人工血管置換術を受けた症例は、無症状であったが、34歳時に突然死した。原因は不明であった。拡大性病変と狭窄性病変では、初回造影のCIAAの径は10mm以上で、石灰化を伴う瘤として遠隔期にも残存し、IIAを伴った5例では、IIAの完全閉塞があった。Ankle brachial pulse index は、狭窄性病変合併例で、右 0.98、左 0.93、人工血管置換術施行例で、右 0.73、左 0.68であったが、無症状であった。【まとめ】 10mm以上のCIAAは石灰化を伴う瘤として遠隔期に残存し狭窄性病変をきたしうるが、進行は緩徐で無症状であった。