[II-P4-5-04] 早期に自然解熱し、再発熱しなかったにも関わらず冠動脈病変を生じたくすぶり型川崎病の2例
キーワード:川崎病, 自然解熱, 冠動脈病変
【背景】くすぶり型川崎病は,自然解熱するにも関わらず,冠動脈病変の発症率が典型的な川崎病と同等なため,ガンマグロブリン静注療法(IVIg)の時期に苦慮する.我々は自然解熱し,冠動脈病変をみとめた症例を経験したため報告する.【症例1】3歳男児.第4病日に発熱,発疹,眼球結膜充血を主訴に受診した.ウイルス感染の疑いで経過観察した.受診後に口唇発赤と手掌紅斑が出現したが,第5病日に自然解熱した.第10病日に膜様落屑が出現したため再診し,川崎病と診断しaspirinの内服を開始した.心臓超音波検査では冠動脈内膜の輝度上昇を認めた.血液検査ではCRP:0.28mg/dlと上昇を認めなかった.第18病日の受診時も冠動脈病変を認めなかったためaspirinを減量した.第32病日の受診時に左冠動脈主幹部に4.0mm(Z score4.74)の拡張を認めた.冠動脈CTでも同部位の拡張を認めたためwarfarin potassiumとdipyridamoleの内服を開始した.罹患後6か月の冠動脈造影検査で同部位は2.37mmと退縮を認めたため,aspirinのみ継続している.【症例2】生後3か月男児.第1病日に発熱で受診し,尿路感染症を疑われ入院した.抗生剤投与で経過観察し,第6病日に解熱したが,尿培養検査は陰性で,心臓超音波検査で左冠動脈主幹部に2.3mmの拡張傾向を認めた.不全型川崎病と診断しaspirinの内服を開始した.第16病日に同部位で最大3.8mm(Z score:6.34)の拡張を認めdipyridamoleを併用した.生後9か月の冠動脈造影検査では2.3mmと退縮傾向を認めたためaspirinのみ継続した.【考察】自然解熱後の再発熱を認めず,炎症反応も低下していたにも関わらず冠動脈病変を生じたくすぶり型川崎病を経験した.IVIgを含めた治療方法,時期などについて検討していく.