[II-P4-5-05] 川崎病腹部症状と腹部エコー所見の検討
キーワード:川崎病, 腹部症状, エコー所見
【背景】川崎病の非心血管合併症として,腹痛や嘔吐などの腹部症状が約70%に認められるとされ, 初発症状として激しい腹痛を呈することが稀にある.一方で腹部症状と腹部エコー所見の関連についての知見は限られている.【目的】川崎病に合併する腹部症状と腹部エコー所見の特徴を明らかにし, 重症度との関連について検討する. 【方法】2018年1月-2021年12月の期間に入院した川崎病患児を対象とした.後方視的に診療情報 (臨床経過,腹部症状の有無,腹部エコー実施の有無, エコー所見および血液データなど) をカルテから収集した.【結果】対象症例は139例であり,男児が75例(53.9%)で,月齢は中央値27か月(14-45か月)であった.腹部症状を呈した症例は34例(24.5%)であった.嘔吐22例(15.8%),腹痛9例(6.5%),下痢16例(11.5%)であった.腹部症状を呈した19例にエコーを実施し,小腸の腸管浮腫・腸液貯留を9例,大腸の腸管浮腫・腸液貯留を7例,腹水貯留を1例に認めた.腹部症状を認めた34例のうち24例に便培養を実施していたが, エルシニアをはじめとした病原性のものは検出されなかった. IVIG不応例は11例(7.9%)であった.腹部症状のある群でIVIG不応例は7.69%で, 腹部症状の有無とIVIG反応性に相関関係は認めなかった(7.69% vs 8.82%, p=0.727).冠動脈病変(CAL)の発症は7例(5.0%)に認めたが,腹部症状とCALの発症に関連は認めなかった(5.88% vs 4.76%, p=0.720).入院時のCRP値について腹部症状の有無で比較したが, 腹部症状の有無でCRP値に有意差は認めなかった(8.29±4.42 mg/dL vs 8.04±5.02 mg/dL, p=0.524).【考察】腹部症状を呈する症例では,主に小腸および大腸に所見を認め消化管の部位は一定ではなかった. 腹部症状を有する症例で,IVIGの反応性やCAL発症頻度は変化せず, CRP値との相関関係は明らかではなかった. 今後も症例数を増やし川崎病と腹部症状との関連を検討していく.