[II-P4-5-07] BCG接種痕の発赤を認めたCOVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)のHispanic系3歳男児例
Keywords:川崎病, COVID-19, 小児多系統炎症性症候群
【諸言】COVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)は、COVID-19後に、急性心不全を含む多臓器障害を伴う炎症性疾患である。本症は、川崎病(KD)の主要症状を含めて、臨床的、免疫学的共通点も多い。BCG痕の発赤は、KD以外にSARS-CoV2ワクチン例が報告されるが、本症での報告はない。【症例】3歳Hispanic系男児。16か月時に日本でBCG接種を受け、4週前に無症候性COVID-19(PCR陽性、デルタ株)既往あり。発熱、消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢)で前医に入院し、第4病日にBCG痕の発赤を含む6主要症状を認め、KD定型例と診断。免疫グロブリン(IVIG)不応予測スコアが低値であったが、同日のIVIG 2g/kg(5%製剤、24hr)に不応、第6病日にIVIG2g/kg追加投与(5%製剤、24hr)後に体重増加(15%)、浮腫、尿量低下、心拡大(CTR62%)、心収縮力低下(EF40%)、NT-proBNP高値(11833)を認め、心不全の為に当院に入院。COVID-19感染歴、臓器障害(粘膜皮膚、消化器、心臓)、血液所見(Lymph 850, Hb8.1, 血小板11.5)、炎症所見(CRP13.5, Feritin179)、凝固障害(D-dimer9.2)を認め、MIS-Cと診断。第8病日に3回目IVIG2g/kg(10%製剤、24hr)+prednisolone投与で速やかに解熱し、心収縮、心不全症状も改善した。冠動脈拡大を認めなかった。【結語】今後、COVID-19のBCG接種国での流行と低年齢化、BCG株の免疫原性の差異、SARS-CoV2の変異株の出現など、MIS-Cの臨床像、機序について、BCG痕の変化も含めて更なる検討が必要である。