[II-P4-5-10] 急性腸炎との鑑別を要した小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の1男児例
キーワード:胃腸炎, COVID-19, ガンマグロブリン
(要旨) 症例は5歳男児。両親米国人で基地に在住。生来健康。5日前より発熱、腹痛、下痢出現し症状持続したため入院前日の夜にかかりつけ院を受診した。造影CTにて虫垂炎と診断され、外来にて抗菌薬と鎮痛剤投与されたが腹痛強いため未明に当院へ紹介入院となった。入院前と入院後のSARS-CoV2-PCRはいずれも陰性であった。超音波検査では急性腸炎が主体と考えられ絶飲食としセフメタゾールにて加療開始した。しかしその後も発熱持続し腹部所見の増悪と入院4日目には起坐呼吸など心不全兆候を認め急性心筋炎と診断しICU管理となった。γグロブリン投与等にて症状軽快したが、のちにCOVID-19抗体が陽性と判明した。患児は予防接種未接種者でありSARS-CoV2感染後数週間経過し発症したことが推測され、小児多系統炎症性症候群(MIS-C)と診断した。本邦でも小児COVID-19感染症が増加している状況であり、今後MIS-Cと診断される症例が増加することが懸念される。貴重な症例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。