The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

川崎病・冠動脈・血管

ポスター発表(II-P4-5)
川崎病・冠動脈・血管 II

Fri. Jul 22, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場

座長:大橋 啓之(三重大学医学部附属病院 小児科)
座長:須田 憲治(久留米大学医学部 小児科)

[II-P4-5-11] 小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)の心合併症;当院での3症例の報告

伊藤 諒一, 木村 瞳, 野村 羊示す, 大島 康徳, 鬼頭 真知子, 河井 悟, 安田 和志 (あいち小児保健医療総合センター 循環器科)

Keywords:MIS-C, 左室機能低下, 心タンポナーデ

【背景】MIS-Cは川崎病を疑わせる多臓器系にわたる強い炎症を来たす病態を示し、SARS-CoV-2感染の2-6週後に発症するとされる。川崎病との類似性が指摘される一方でその診断基準を満たすことは少ない。海外の報告では死亡率は0.3-1.4%ではあるが、急性期には40%でshock vitalを示し、34%で心エコー上のLV EFの低下を伴う。COVID-19流行に伴い発生した新規の疾患概念であり、本邦における詳細な病態、予後の報告は乏しい。当院で経験した3例はいずれも急性期に心合併症を有したが、中でも特に顕著な左室機能低下を合併した2症例を中心に報告する。【症例1】10歳女児。4週間前に家族内でCOVID-19が流行し本児も感染したが急性期は無症状であった。発熱、嘔吐、下痢を契機に近位を受診し、眼瞼結膜充血、皮疹からMIS-Cと診断。当院入院当初はLVEF 53%と比較的保たれていたが、入院後数時間でLVEF 35%と急激な悪化を認め挿管人工呼吸管理、カテコラミン投与。左室全周性の心嚢液貯留による心タンポナーデを合併し緊急ドレナージ施行、病理ではT細胞浸潤を認めた。IVIg、PSL、ASA投与し10時間で解熱、翌日には左室機能も改善傾向。冠動脈病変合併なし。【症例2】7歳女児。3週間前に家族内でCOVID-19流行し本児も感染、急性期は無症状。発熱を主訴に近医受診。血圧低下に加えLVEF 40%に低下しており当院搬送。カテコラミン投与、挿管人工呼吸管理を要した。IVIg、PSL、ASA投与により6時間後には解熱、LVEFも2日後には正常化。RCAの軽度一過性拡張を認めた。【まとめ】3症例のうち2症例で著明な左室機能低下を合併し集中治療管理を要した。心筋逸脱酵素の上昇は軽微である点や解熱後に速やかに心機能の改善が得られる点など川崎病に合併した左室機能低下との類似性が認められた。1例では心タンポナーデを来す心膜炎を合併した。