[II-P4-6-01] 末期心不全に至る前に緩和医療を導入した成人先天性心疾患の2例
Keywords:ACHD, 緩和医療, ACP
【背景】わが国の死亡原因のうち心疾患による死亡は15%と悪性新生物についで多く,2021年には循環器疾患における緩和ケアへの提言が示された.成人先天性心疾患(以下ACHD)患者にも言及されており,両親への依存度の高さや社会的自立の難しさなど,小児領域特有の問題が示されている.今回,末期心不全に至る前に緩和医療を導入した2例を提示する.
【症例1】36歳男性.三尖弁閉鎖でグレン手術を施行するも左室機能低下からフォンタン手術の適応外となり,チアノーゼ性腎症を合併していた.公務員として就労していたが,心不全のために離職した.心不全の増悪のために入院した際に.突然死の危険性が高く,腎代替療法の導入確認も含めACPを導入した.両親と本人に説明を行い,両親がいない状況でも再度本人に意思確認をした.多職種で介入することにより多くの情報を得ることができた.その後も外来で定期的に意思確認を行い,多職種での介入を継続している.
【症例2】31歳女性.Noonan症候群に心房中隔欠損,肺高血圧を合併し,21歳時に蛋白漏出性胃腸症を発症した.蛋白漏出性胃腸症への各種治療を行うも改善せず,週2回のアルブミンの補充を行っていた.軽度の知的障害があり恐怖心が非常に強い方であった.喀血や不整脈による突然死の危険性が高いため,母に対し病状説明を数か月ごとに行った.本人への説明は恐怖心を増強するため行わないことを母が繰り返し強く希望した.1か月前に脳膿瘍を発症した際,両親に対し再度説明を行い内科的治療のみを行うことを確認した.本人への説明ができずACPの導入が行われなかったが,本人の不安を増強しない方法での導入を検討している.
【考察】ACHD患者に対する緩和医療は本人のみならず家族との関係性がより重要であり,予後不良症例の場合は早期にACPを導入し多職種が関わることが重要である.
【症例1】36歳男性.三尖弁閉鎖でグレン手術を施行するも左室機能低下からフォンタン手術の適応外となり,チアノーゼ性腎症を合併していた.公務員として就労していたが,心不全のために離職した.心不全の増悪のために入院した際に.突然死の危険性が高く,腎代替療法の導入確認も含めACPを導入した.両親と本人に説明を行い,両親がいない状況でも再度本人に意思確認をした.多職種で介入することにより多くの情報を得ることができた.その後も外来で定期的に意思確認を行い,多職種での介入を継続している.
【症例2】31歳女性.Noonan症候群に心房中隔欠損,肺高血圧を合併し,21歳時に蛋白漏出性胃腸症を発症した.蛋白漏出性胃腸症への各種治療を行うも改善せず,週2回のアルブミンの補充を行っていた.軽度の知的障害があり恐怖心が非常に強い方であった.喀血や不整脈による突然死の危険性が高いため,母に対し病状説明を数か月ごとに行った.本人への説明は恐怖心を増強するため行わないことを母が繰り返し強く希望した.1か月前に脳膿瘍を発症した際,両親に対し再度説明を行い内科的治療のみを行うことを確認した.本人への説明ができずACPの導入が行われなかったが,本人の不安を増強しない方法での導入を検討している.
【考察】ACHD患者に対する緩和医療は本人のみならず家族との関係性がより重要であり,予後不良症例の場合は早期にACPを導入し多職種が関わることが重要である.