[II-P4-6-02] 29歳2ヶ月で大腿骨頸部骨折を受傷したファロー四徴の1例
Keywords:ファロー四懲, 大腿骨頸部骨折, 骨粗鬆症
【目的】若年にもかかわらず転倒により大腿骨頸部骨折を受傷したファロー四懲の1例を経験したので報告する。【症例】受傷時29歳2か月の男性。ファロー四懲(TOF)、肺動脈閉鎖、主要肺動脈体動脈起始、大動脈弁閉鎖不全の診断で6歳時、8歳時にunifocalization 、13歳時に大動脈弁置換術、16歳時にRastelli 手術を受けた。肺高血圧のためVSD閉鎖されずチアノーゼが残る血行動態となった。(尚二分脊椎合併もあり修復術後神経因性膀胱となった。)27歳5ヶ月時感染性心内膜炎に罹患。心不全増悪、硬膜下血腫併発もあり長期臥床、廃用症候群となったため当院へリハビリテーション目的で紹介された。29歳5ヶ月時、エルゴメータ坐乗中に突然意識消失し転落。右大腿骨頸部骨折を受傷し骨接合術を受けた。1ヶ月後骨折原因検索のため骨密度を測定したが腰椎0.580g/cm2(55% of normal)、左大腿骨頸部で0.356g/cm2(41% of normal)といずれも極端に低値であった。なお意識消失は癲癇発作であったと診断された。【考案】大腿骨頸部骨折は高齢者が転倒した際に受傷することが多い。本例は29歳5ヶ月と若い上、エルゴメータからの転落という僅かな打撲で受傷し骨密度低値がその原因と考えられた。複合心疾患の精査と手術、感染性心内膜炎、硬膜下血腫等の合併症の治療などの長期の入院生活、日常生活で「体力」不足により外出時間が短かった事等による日光浴不足からビタミンD活性化が乏しく骨密度低値となったものと思われた。【結論】1)29歳5ヶ月で大腿骨頸部骨折を受傷したTOFの1例を報告した。2)骨密度低下がその原因と思われた。3)複合心疾患や合併疾患の治療のため長期入院を要する患者には骨密度測定を行い骨粗鬆の有無を検討する必要がある。4)そのような患者には活性化ビタミンD投与や日光浴により骨粗鬆を予防する必要がある。