[II-P4-6-04] 成人に到達した二心室修復術後の純型肺動脈閉鎖における小児期の三尖弁サイズの推移と成人期心不全発症の関連について
キーワード:成人先天性心疾患, 純型肺動脈閉鎖, 二心室修復術
(背景)純型肺動脈閉鎖(PA-IVS)に対する修復術は多岐にわたる。当院では三尖弁(TV)サイズを元に積極的に二心室修復術(BVR)を施行してきおてり、その長期予後が良好であることを報告してきた。しかし、成人期に到達した症例では心不全のために再手術を要する症例も存在する。本研究では、BVR後のPA-IVSの成人症例において、小児期からの経過と成人期の心不全の発症との関連について検討した。(方法)PA-IVSに対し、小児期にBVRが施行された16歳以上の24例(男性15例)を対象とした。臨床経過、手術歴、心エコー指標を収集した。TV径は心尖部四腔像より最大径を計測した(結果)BVRが施行された年齢は中央値2.3歳(IQR 1.2-2.9)であった。最終受診時の年齢は25.6歳(21.5-28.2)で、16歳からの観察期間は中央値9.6年(5.5-12.2)であった。観察期間中に、1例が19歳で突然死し、4例が中央値18.9歳で心不全を発症し、全例で1.5心室修復術が施行された。16歳からの心不全回避率は5年81%、10年81%であった。成人期に心不全を発症した症例では、BVR時の年齢や体表面積に差を認めなかったが、TVサイズは有意に小さかった(TV径: HF群 9.7±2.3 vs. 非HF群15.8±4.1 mm; TV Z-score: -2.4±0.5 vs. -0.4±1.5, all P<0.05)。さらにBVR後5年、10年、15年のTV Z-scoreも心不全群で小さかった(5年後 -1.7±0.9 vs. 0.7±1.9; 10年後 -1.3±1.2 vs. 0.2±1.2; 15年後 -0.6±0.5 vs. 0.8±1.1, all P<0.01)。(結語)成人に到達したBVR後のPA-IVS症例で、成人期に心不全を発症する症例では、術直前および小児期からの全経過でTVサイズが心不全のない症例より小さかった。