[II-P4-6-06] 安静と栄養療法により拡張相肥大型肥大型心筋症の改善を認めた成人ヌーナン症候群の一例
Keywords:ヌーナン症候群, 肥大型心筋症, 心不全
【背景】ヌーナン症候群(Noonan Syndrome ; NS)は細胞の成長・増殖に関わるRAS/MAPK異常に起因し, 低身長, 心疾患, がん感受性等を伴う先天性疾患である. 合併する心疾患は肺動脈弁狭窄, 肥大型心筋症の頻度が高い. 成人期にNSと診断され, かつ, 拡張相肥大型心筋症(D-HCM)の診断から長期間経過した後に左室壁厚が回復した報告は少ない.
【症例】45歳, 男性. 成育歴不明. 低身長. 独居. 35歳時に心不全初回入院となり, その際にNSと診断された. 初回UCGで全周性の左室壁肥厚と収縮能低下(LVEF 34%)を認め, 冠動脈CTで有意狭窄を認めず, D-HCM様病態とされた. β遮断薬およびACE阻害薬/ARBは血圧低下等から継続出来なかった. 中等度知的障害(IQ 49)のため服薬アドヒアランス, 安静, 食生活に問題を抱え, 43歳頃からは入院回数が急増した. 15回目の入院で症状は改善したが今後の独居継続は不可能と判断され, 当院へ転院し退院調整を行った. 転院時, NYHA III, BNP 540 pg/ml, 心胸郭比70%, LVEF 10%, LVDd 76.2 mm, 左室壁厚 7.0 mm, 内服薬はトルバプタン 15 mg, フロセミド 180 mg, アゾセミド 30 mg, フェブキソスタット 10 mg, ダパグリフロジン 10 mg, ピモベンダン 5 mg, スボレキサント 15 mg, ペロスピロン 16 mg, リスペリドン 0.5 mgであった. 転院当初は本人の拒絶で採血を行えず体重を目安に内服を調整した. 退院調整に難渋し入院期間161日で施設へ退院したが, 長期入院でかえって適度な安静が保たれ, 栄養状態も改善し, 信頼関係が構築され採血に協力的となった. 内服はフロセミド 10 mg, スピロノラクトン 25 mg, フェブキソスタット 10 mg, ダパグリフロジン 10 mg, スボレキサント 15 mgに整理され, NYHA II, BNP 46 pg/ml, 心胸郭比 53%, LVEF 45%, LVDd 60.0 mm, 左室壁厚 12.0 mmとなった.
【結論】NSに合併し10年経過したD-HCMの左室壁厚が回復した一例を経験した.
【症例】45歳, 男性. 成育歴不明. 低身長. 独居. 35歳時に心不全初回入院となり, その際にNSと診断された. 初回UCGで全周性の左室壁肥厚と収縮能低下(LVEF 34%)を認め, 冠動脈CTで有意狭窄を認めず, D-HCM様病態とされた. β遮断薬およびACE阻害薬/ARBは血圧低下等から継続出来なかった. 中等度知的障害(IQ 49)のため服薬アドヒアランス, 安静, 食生活に問題を抱え, 43歳頃からは入院回数が急増した. 15回目の入院で症状は改善したが今後の独居継続は不可能と判断され, 当院へ転院し退院調整を行った. 転院時, NYHA III, BNP 540 pg/ml, 心胸郭比70%, LVEF 10%, LVDd 76.2 mm, 左室壁厚 7.0 mm, 内服薬はトルバプタン 15 mg, フロセミド 180 mg, アゾセミド 30 mg, フェブキソスタット 10 mg, ダパグリフロジン 10 mg, ピモベンダン 5 mg, スボレキサント 15 mg, ペロスピロン 16 mg, リスペリドン 0.5 mgであった. 転院当初は本人の拒絶で採血を行えず体重を目安に内服を調整した. 退院調整に難渋し入院期間161日で施設へ退院したが, 長期入院でかえって適度な安静が保たれ, 栄養状態も改善し, 信頼関係が構築され採血に協力的となった. 内服はフロセミド 10 mg, スピロノラクトン 25 mg, フェブキソスタット 10 mg, ダパグリフロジン 10 mg, スボレキサント 15 mgに整理され, NYHA II, BNP 46 pg/ml, 心胸郭比 53%, LVEF 45%, LVDd 60.0 mm, 左室壁厚 12.0 mmとなった.
【結論】NSに合併し10年経過したD-HCMの左室壁厚が回復した一例を経験した.